ピアノでたどる西洋音楽史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
パクリ上等で、ベートーヴェンの絶対音楽の継承者に
ピアノでたどる西洋音楽史(8)絶対音楽とブラームス
野本由紀夫(音楽学者/元玉川大学教授)
音楽に一大革命を起こしたベートーヴェンの後、ロマン派の作曲家たちは、どのように作曲と向き合っていったのだろうか。今回は、「ドイツ三大B」とも呼ばれ、ベートーヴェンの「絶対音楽」を忠実に継承しようとしたブラームスの場合を取り上げる。(全11話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:8分35秒
収録日:2019年9月4日
追加日:2019年12月13日
≪全文≫

●「ドイツ三大B」はブラームスの売り込み文句?


――前回までベートーヴェンのお話を聞いてまいりまして、音楽にまさに革命が起こりました。ここからは、ベートーヴェンの後に音楽がどうなっていくかというお話をお聞きできればと思います。前回、「ジャジャジャジャーン」の第5番と、「田園」の第6番が双子だということで。

野本 これですね。

<ピアノ演奏>

 第5番。そして第6番。

<ピアノ演奏>

 ベートーヴェン本人が「田園交響曲」とタイトルをつけ、第1楽章には「田舎に着いたときの陽気な感情の芽生え」と、どういう感情を表現してるのかを明示しました。しかも、第5番と第6番はほぼ同時期に作曲していたのに、まるっきり性格の違う曲です。

 ベートーヴェン以後の作曲家の人たちを「ロマン派」と呼びますが、その流れはほぼ19世紀いっぱい続いていきます。実は19世紀のロマン派の人たちは、ベートーヴェンの第5番を最高のモデルにするか、第6番をモデルにするかで、大激論を交わしていったんです。

 第5番の交響曲のように、「ジャジャジャジャーン」というリズム1個だけで大交響曲を書いてしまうぐらい、モチーフにこだわって書こうよという人々。言ってみれば、非常に抽象的で、やや理屈っぽく、構築性の高い音楽をつくっていくべきだといった人たちのことを「絶対音楽派」と呼びます。その代表だった人が、ブラームスなんです。

 かつてはよく「ドイツ三大B」と言われたものです。ドイツ生まれのドイツ人でありながら、みんな苗字にBが付く。バッハ、ベートーヴェン、そしてブラームス。これ、実は当時のキャッチコピーだったんですね。

――当時と言うと。

野本 ブラームスの当時のキャッチコピー、つまりブラームスを売り込むためのキャッチコピーとしてつくられたのが「三大B」なんです。

 今日のキャッチコピーと同じで、「えっ、バッハ? ドイツ民族の英雄じゃないの。ベートーヴェン? 音楽の神様じゃないの。ブラームスもBが付く、すごい!」というふうに、ちょっと、だまされるような感じで、キャッチコピーとしてつくられたんです。どっちにしても、そういうキャッチコピーができるのは、ブラームスがベートーヴェンの音楽の歴史を継いでいこうという人だったからこそなんですね。


●ベートーヴェンを意識しすぎたブラームス


――ブラームスが第1番交響曲を書くのに...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
「万葉集」の聖徳太子――語りかける人(1)日本人の憧れ
聖徳太子と日本人…「実在しなかった」説の真相とは?
上野誠
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(1)悩みの99%は他者との関係性
「使命観=パーパス」に立脚できないのは自分のエゴのせい
田村潤
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗