クラシックで学ぶ世界史
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ベルリオーズ『幻想交響曲』…革命時代の音響と過激な妄想
クラシックで学ぶ世界史(7)ベルリオーズから近代へ
芸術と文化
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
市民革命期の音楽家としてフランスのベルリオーズの名は外せない。最も有名な『幻想交響曲』は作者の妄想が結実したものともいわれ、ギロチンが落ちて首が飛ぶようなシーンとその後の大混乱が、「革命の時代の音響」として近現代にも影響している。(全13話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:9分53秒
収録日:2019年8月26日
追加日:2019年11月23日
≪全文≫

●パリでベートーヴェン演奏に奔走したベルリオーズ


―― 市民革命期の音楽家でもう一人ぜひ取り上げたいのが、フランスの作曲家のベルリオーズです。この人は1803年に生まれて、1869年に亡くなります。一番有名なのは『幻想交響曲』や『ファウストの劫罰』。規模がでかくて、例えば『幻想交響曲』4楽章では、ギロチンが落ちて首が飛ぶようなシーンまで描くということで、描写音楽としてのすごさで有名です。それをとことんまで天才的に突き詰めた人だと思うんですけど、あれはやはりフランス革命の影響をそうとう受けているのでしょうね。

片山 そうですね。ベルリオーズという人は、まさにフランスにおけるフランス革命以後の音楽の流れをよく知っていた。さらに、パリでベートーヴェンを流行させるというか、彼の交響曲をパリでどんどん演奏しようという流れに協力した人でした。

 ベートーヴェンの音楽、例えば交響曲第五番『運命』の「ジャジャジャジャーン」という誰でもすぐ覚えられるものにしました。あれを、ただ「ジャジャジャジャーン、ジャジャジャジャーン」とやっていたら、単なる民衆歌か童謡のように捉えられます。「ジャジャジャジャン、ジャジャジャジャン、ジャーン」といって終わってしまったのではしょうがないんだけど、それをクラシック音楽らしくしたのです。

 つまり、みんなの覚えやすいメロディで、いかに長い持続をつくれるか。30~40分の交響曲としての持続をつくって、しかも材料になっているのは基本的には「ジャジャジャジャン」に尽きてしまうわけです。だから、その「ジャジャジャジャン」を意識して聞いていれば、みんな集中して聞いていられる。だから非常に長くて、理屈のすごさもたくさんあるんだけれども、入り口がすごく広い。

 さらに、悲しい・つらい・悲劇的なところから歓喜へ向かうので、みんなが心情移入も一番しやすい。こういうふうに、限られたモティーフを使ってドラマをつくることを究めているのも、またベートーヴェンなのです。


●ベートーヴェンの密度+フランス革命の音響経験=?


片山 でも、ベートーヴェンはやはりハプスブルク帝国の音楽家だったので、フランスに比べると管楽器の種類なんかがあまり進んでいません。フランス革命以後、ゴセックという人をはじめドヴィエンヌとかいろんな作曲家が出て、野外の吹奏楽が音楽の中心になる時代が続きまし...

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