クラシックで学ぶ世界史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
モーツァルトの生きた時代は「就職氷河期」
クラシックで学ぶ世界史(4)不安の時代の作曲家
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
18世紀後半、市民階級がさらに力を蓄えるにつれ、旧体制(王侯貴族や教会)は弱体化し、お抱えの音楽家を雇用するゆとりを失い始める。ヨーロッパ中に名前を知られた「神童モーツァルト」でさえ雇用する者がいないほど、それは深刻な変化だった。(全13話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:12分42秒
収録日:2019年8月26日
追加日:2019年11月2日
≪全文≫

●「就職氷河期」にぶつかったモーツァルトの短い生涯


―― 先生は、モーツァルトについて非常に印象深い言葉を紹介していらっしゃいます。「モーツァルトは不安の時代の音楽家である」、と。端的にいうと、時代が移り変わっていく中で、かわいそうなことに就職氷河期に当たってしまったのがモーツァルトであると、『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』の中でお書きになっています。

片山 そうですね。前回までの流れでいえば、教会や封建領主の強い時代が、絶対王政によって揺らぎ始める。国によって違いがあるので、中央に権力が集中して、教会の権力や封建領主の権力が弱っていくようなところもあれば、神聖ローマ帝国のように、なかなかそうでもなく、いつまでも割れているようなところもあるわけです。

 そういう中で、イギリス発の産業革命は特に大きいわけですが、その手前でいわゆる商業革命的なことが起こります。いろんな品物が、大きな圏域で幅広く流通していくようになるのです。そういう時代になりますと、もちろん生産力も上がっていく。そして決定的には産業革命によって生産力が飛躍的に向上し、同じ時間と同じ労働力で10倍とか桁違いなかたちで、いろんな品物ができるようになっていきます。

 こうなると、動く富も変わってくる。また、力を持ち始めるのは生産手段である工場などを持っているような人、それから、そういう品物を取り引きしている人になって、いわゆる商工業者がお金を持つようになります。その分、どこが没落するか。国によって違いがあり、封建領主でも相変わらずお金が集まるようなシステムでがんばっていたところもありますが、全体的には富が一般の市民の方にたくさん蓄積されることにより、教会や国王、封建領主たちが相対的に弱ってきます。

 弱ってくるということは、王さまや貴族や教会ばっかりがたくさんお金を使って音楽家を雇う時代が終わり、その代わり市民相手に稼ぐのが当たり前になってくるのが、まさに18世紀の後半に起きることなのです。


●旧体制の存続を信じて天才児の就職活動をした父レオポルド


―― 例えば、モーツァルトの場合、生まれたのが1756年で、亡くなったのが1791年ということですね。このあたりの微妙な差によって、この時代では非常に色が分かれてくるわけですね。

片山 そうですね。1789年がフランス革命の始まる年ですので、モーツ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
音楽の父バッハ…なぜ「音楽」が西洋でリベラルアーツなのか?
樋口隆一
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
山上憶良「好去好来の歌」を読む(1)山上憶良に学ぶ国際感覚
8世紀を代表する知識人・山上憶良が感じたグローバリズム
上野誠
山上憶良「沈痾自哀文」と東洋的死生観(1)因果応報と日本仏教の課題
山上憶良が「沈痾自哀文」で問いかけた因果応報の問題
上野誠

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ