概説・縄文時代~その最新常識
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
縄文時代の始まりと終わりはなぜ定まらないのか?
概説・縄文時代~その最新常識(3)縄文土器・縄文文化をめぐる議論
山田康弘(東京都立大学人文社会学部 教授)
縄文土器はどこから来た文化なのか、というのは難しい問題である。各地で出土した土器の年代を比較すると、実は日本国内で発明されたものであるという説が有力である。加えて、縄文時代の始まりと終わりに関してもいまだに議論が続けられている。(全13話中第3話)
時間:10分04秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年10月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●縄文土器は大陸由来ではなく日本固有の発明である可能性がある


 縄文土器に関しては、面白い発見がありました。現時点で、日本で一番古い土器は、青森県の大平山元1遺跡から出土しました。この土器とともにどのような石器が出土しているか調べると、専門用語で「神子柴・長者久保文化」と呼ばれるものと一致します。

 神子柴型の打製石斧、大型の斧は、刃の部分だけ磨いている特別な斧です。また、非常に細長くて、木の葉っぱのような柳葉形の尖頭器、つまり槍です。そうしたものを伴う石器文化です。

 この石器文化は、もともと日本固有のものではありません。北方領域、例えば沿海州のあたり、ユーラシア大陸北部に存在する文化だと分かっています。それが、北海道から入ってきて、本州まで伝播してきます。そうすると、縄文土器は北方文化の影響の下で出現したと考えることができます。

 ところが興味深いことに、九州でも同時期に土器が出現していることが最近の研究で分かりました。九州最古の土器が出土した長崎県福井洞窟で、土器が出土した地層に含まれていた炭化物を年代測定すると、およそ1万6000年前のものであることが確認されました。したがって、日本列島の北部と南西部で、ほぼ同じ年代に土器が出現しているということなのです。

 縄文時代の開始をおよそ1万6000年前とすると、およそ1万1500年前の時期をわれわれは「縄文時代草創期」と呼んで区分しています。その縄文時代草創期段階の、特に古い時期の土器は、北海道からほとんど出土しません。帯広に大正3遺跡がありますが、そこから出土した土器でも、およそ1万2000年前のものです。したがって、北回りに土器が伝播してきた可能性は、非常に低いのです。

 今度は、西回りで土器が入ってきたという仮説について考えてみましょう。現時点で、世界最古の土器は、中国湖南省の玉蟾岩(ユチャンヤン)洞穴から出土しました。年代測定の結果、およそ1万8000年前のものとされています。

 朝鮮半島の最古の土器は、済州(チェジュ)島の高山里(コサンリ)という遺跡から出土したもので、およそ1万年前のものといわれています。そうすると、中国南部から朝鮮半島を経由して日本に入ってくるルートも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉