概説・縄文時代~その最新常識
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縄文人と現代人を比較すると、どれほどの違いがあるか?
概説・縄文時代~その最新常識(4)縄文人の身体的・遺伝的特徴
歴史と社会
山田康弘(東京都立大学人文社会学部人文学科歴史学・考古学教室 教授)
縄文人とはどのような人々だったのだろうか。身体的特徴から見ると、現代人よりもたくましいが、日本列島内部での差異はほとんど見られない。しかし、DNAの分析手法の発展により、遺伝子解析を行えるようになった結果、南北で顕著な遺伝的多様性が見られることが分かった。現在、われわれのイメージする縄文人の容貌の多くは想像によるものであるが、さらなるDNA解析によって、近いうちにより実際に近い姿が捉えられるようになるだろう。(全13話中第4話)
時間:14分18秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年10月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●縄文時代の一般的なイメージは1万3000年間のうちの3分の1


 縄文時代は、およそ1万6500年前から3000年前まで、東北地方を基準にして考えるとおよそ2400年前までになります。およそ1万3000年間続いたのですが、実は縄文時代はさらに草創期、早期、前期、中期、後期、晩期と細かく6期に区分することができます。

 草創期の時間幅は、これまでも少し説明しましたが、およそ1万6500年前、あるいはおよそ1万6000年前から1万1500年まで。早期はおよそ1万1500年前から7000年前まで。前期はおよそ7000年前から5500年前です。

 縄文時代の典型的なイメージというと、縄文のビーナスや、燃え盛るような火焔土器、あるいは水煙が上がっているような水煙土器などかと思います。これは、ほとんど中期のイメージなのです。この中期がおよそ5500年前から4500年前。後期はおよそ4500年前から3300年前まで。晩期は東北地方を基準にしますと、およそ3300年前から2400年前までを指します。

 したがって、われわれが通常イメージしている縄文時代中期は、およそ1万3000年間ある縄文時代の中の1000年間しか続いていないのです。また、遮光器土偶や亀ヶ岡土器などで有名な縄文時代晩期は、北部九州の水田稲作を基準にすると、およそ3300年前から3000年前までの、およそ300年にすぎません。

 つまり、われわれが通常抱いている縄文時代のイメージが当てはまる時代は、その中でたかだか1000年、場合によっては200年から300年といった短い時間幅しか実は持っていないのです。まずここをイメージしていただきたいと思います。

 われわれがイメージする縄文時代が始まる前の段階の縄文時代草創期は、5000年間続きました。そして草創期が終わり、土器が普及し、貝塚が出現し、徐々に縄文時代の基礎が形成される縄文時代早期は、およそ4000年間にわたって続きます。

 そうすると、草創期と早期を合わせるとかなりの時間となります。われわれが縄文時代の最盛期として捉えている前期、中期、後期、晩期は、全体から見ると後半の3分の1でしかありません。こうした時間幅の在り方を念頭に置いて考えると、より深く縄文時代を理解することができるかと思います。


●縄文人は非常に興味深い特徴を持っている


 さて、次に縄文時代に存在し...

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