概説・縄文時代~その最新常識
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
縄文人と現代人を比較すると、どれほどの違いがあるか?
概説・縄文時代~その最新常識(4)縄文人の身体的・遺伝的特徴
歴史と社会
山田康弘(東京都立大学人文社会学部人文学科歴史学・考古学教室 教授)
縄文人とはどのような人々だったのだろうか。身体的特徴から見ると、現代人よりもたくましいが、日本列島内部での差異はほとんど見られない。しかし、DNAの分析手法の発展により、遺伝子解析を行えるようになった結果、南北で顕著な遺伝的多様性が見られることが分かった。現在、われわれのイメージする縄文人の容貌の多くは想像によるものであるが、さらなるDNA解析によって、近いうちにより実際に近い姿が捉えられるようになるだろう。(全13話中第4話)
時間:14分18秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年10月15日
カテゴリー:
≪全文≫

●縄文時代の一般的なイメージは1万3000年間のうちの3分の1


 縄文時代は、およそ1万6500年前から3000年前まで、東北地方を基準にして考えるとおよそ2400年前までになります。およそ1万3000年間続いたのですが、実は縄文時代はさらに草創期、早期、前期、中期、後期、晩期と細かく6期に区分することができます。

 草創期の時間幅は、これまでも少し説明しましたが、およそ1万6500年前、あるいはおよそ1万6000年前から1万1500年まで。早期はおよそ1万1500年前から7000年前まで。前期はおよそ7000年前から5500年前です。

 縄文時代の典型的なイメージというと、縄文のビーナスや、燃え盛るような火焔土器、あるいは水煙が上がっているような水煙土器などかと思います。これは、ほとんど中期のイメージなのです。この中期がおよそ5500年前から4500年前。後期はおよそ4500年前から3300年前まで。晩期は東北地方を基準にしますと、およそ3300年前から2400年前までを指します。

 したがって、われわれが通常イメージしている縄文時代中期は、およそ1万3000年間ある縄文時代の中の1000年間しか続いていないのです。また、遮光器土偶や亀ヶ岡土器などで有名な縄文時代晩期は、北部九州の水田稲作を基準にすると、およそ3300年前から3000年前までの、およそ300年にすぎません。

 つまり、われわれが通常抱いている縄文時代のイメージが当てはまる時代は、その中でたかだか1000年、場合によっては200年から300年といった短い時間幅しか実は持っていないのです。まずここをイメージしていただきたいと思います。

 われわれがイメージする縄文時代が始まる前の段階の縄文時代草創期は、5000年間続きました。そして草創期が終わり、土器が普及し、貝塚が出現し、徐々に縄文時代の基礎が形成される縄文時代早期は、およそ4000年間にわたって続きます。

 そうすると、草創期と早期を合わせるとかなりの時間となります。われわれが縄文時代の最盛期として捉えている前期、中期、後期、晩期は、全体から見ると後半の3分の1でしかありません。こうした時間幅の在り方を念頭に置いて考えると、より深く縄文時代を理解することができるかと思います。


●縄文人は非常に興味深い特徴を持っている


 さて、次に縄文時代に存在し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治