●縄文時代の一般的なイメージは1万3000年間のうちの3分の1
縄文時代は、およそ1万6500年前から3000年前まで、東北地方を基準にして考えるとおよそ2400年前までになります。およそ1万3000年間続いたのですが、実は縄文時代はさらに草創期、早期、前期、中期、後期、晩期と細かく6期に区分することができます。
草創期の時間幅は、これまでも少し説明しましたが、およそ1万6500年前、あるいはおよそ1万6000年前から1万1500年まで。早期はおよそ1万1500年前から7000年前まで。前期はおよそ7000年前から5500年前です。
縄文時代の典型的なイメージというと、縄文のビーナスや、燃え盛るような火焔土器、あるいは水煙が上がっているような水煙土器などかと思います。これは、ほとんど中期のイメージなのです。この中期がおよそ5500年前から4500年前。後期はおよそ4500年前から3300年前まで。晩期は東北地方を基準にしますと、およそ3300年前から2400年前までを指します。
したがって、われわれが通常イメージしている縄文時代中期は、およそ1万3000年間ある縄文時代の中の1000年間しか続いていないのです。また、遮光器土偶や亀ヶ岡土器などで有名な縄文時代晩期は、北部九州の水田稲作を基準にすると、およそ3300年前から3000年前までの、およそ300年にすぎません。
つまり、われわれが通常抱いている縄文時代のイメージが当てはまる時代は、その中でたかだか1000年、場合によっては200年から300年といった短い時間幅しか実は持っていないのです。まずここをイメージしていただきたいと思います。
われわれがイメージする縄文時代が始まる前の段階の縄文時代草創期は、5000年間続きました。そして草創期が終わり、土器が普及し、貝塚が出現し、徐々に縄文時代の基礎が形成される縄文時代早期は、およそ4000年間にわたって続きます。
そうすると、草創期と早期を合わせるとかなりの時間となります。われわれが縄文時代の最盛期として捉えている前期、中期、後期、晩期は、全体から見ると後半の3分の1でしかありません。こうした時間幅の在り方を念頭に置いて考えると、より深く縄文時代を理解することができるかと思います。
●縄文人は非常に興味深い特徴を持っている
さて、次に縄文時代に存在し...