概説・縄文時代~その最新常識
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜ環状集落は東日本で発達した?縄文時代の「都市計画」
概説・縄文時代~その最新常識(8)縄文時代の人々の集落
歴史と社会
山田康弘(東京都立大学人文社会学部人文学科歴史学・考古学教室 教授)
縄文時代の人たちは、どのような集落に住んでいたのだろうか。縄文時代の典型的な集落としてイメージされるのは、竪穴住居や中央広場があることなどだが、一集落あたりの住居数や集落自体の内容(都市計画)は東日本と西日本では大きく異なるという。はたしてそれはどのような差なのか。縄文人の集落事情に関して解説する。(全13話中第8話)
時間:9分10秒
収録日:2019年6月4日
追加日:2019年11月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●縄文時代の集落の都市計画


 縄文人は、どのような場所に住んでいたのでしょうか。これについては、多くの研究があります。縄文人が住んでいた村を、われわれは「集落」と呼びます。皆さんがイメージする典型的な縄文時代の集落には、竪穴住居があり、真ん中に広場があり、脇には墓などがあるかと思います。

 関東地方では、そういった竪穴住居が円形に並んでいる環状集落が形成されました。場合によっては一つの遺跡に、建物、特に住居趾が100軒から200軒も発見される、非常に大型の村も見つかっています。

 ただ、その全ての建物が同時に建っていたわけではないと考えられています。大きな村であっても、おそらくせいぜい10軒程度がワンセットであり、場合によってはもっと少ない。そうした村が1000年近く継続していって、大きな村となっていくのではないかという研究もあります。

 ただ、規模が大きい村と小さい村の間には、おそらく何らかの機能差があったろうと考えられます。例えば、非常に大きな環状集落は、その周辺の主要な村、つまり母村としての役割を担っていたのかもしれません。実際に、母村の周りには規模の小さな村がいくつかあることが多いのです。これらの小さな村は母村から分かれた村、つまり分村ではないかと考えられています。もしくは、専門家が集住していて、異なる専門的な機能を担っていた可能性もあります。そのような機能的な分化も起こっていたかもしれません。

 東日本では、このように大型の環状集落というものが展開しています。通常は住居があり、その内側に貯蔵穴があり、真ん中には広場が配置されていることが多いのです。ところが、千葉県側の場合は、真ん中がきれいに何もない広場になることが多いのですが、神奈川県などの西関東や山梨県などの中部地方では、環状集落の真ん中にお墓が作られていることがあります。このように、先ほど説明した都市計画の違いが、地域ごとに存在するのです。これも縄文文化の多様性を考える上で、興味深い点です。

 私はよく、長野県塩尻市の俎原(まないたばら)遺跡を例として、環状集落を説明します。この環状集落の中も竪穴住居が広がる居住域があり、真ん中にはいろいろな作業や、あるいは会議をしたと考えられる、中央広場があり、その...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革(1)学問吟味の導入と正統性の問題
松平定信のもう一つの功績「学問吟味」の画期性に注目
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
日本の定年制はおかしい…ガラパゴス的で不幸を招く制度
出口治明
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉