戦前日本の「未完のファシズム」と現代
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
日本の陸軍は第二次世界大戦を「100年戦争」であると見なした。勝てる見込みは少なかったにもかかわらず、天皇と国民の一体性という精神主義によって、総力戦になだれこんでいった。石原莞爾が満州事変を起こした時に描いたストーリーとは違う展開になっていったのだが、その背景には世界大恐慌があった。(2020年2月26日開催・日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「戦前日本の『未完のファシズム』と現代」より9話中8話)
時間:10分40秒
収録日:2020年2月26日
追加日:2020年8月4日
≪全文≫

●陸軍が考えた「100年戦争」と朝鮮における米の増産計画


 (大東亜共栄圏を建設しながら戦争を続けるという、建設と戦争の平行を真面目に考えました。)だから、日本の陸軍の有力者たちは、「100年戦争」といいました。つまり100年の間に、東南アジアで油やゴムの生産を行いながら戦争を続けることで、日本は強くなると考えたのです。どう考えたらそうなるのかがよく分からないのですが、こうして資源を取りながら勝つという戦略です。

 ところが、皆さんよくご存知のように、護衛する艦隊もありません。輸送船も足りません。みんな途中で沈められてしまいます。石油も来なくなります。

 少し話が戻りますが、食糧も同様です。日本は当時すでに、朝鮮や台湾に基本的な食糧生産をだいぶシフトさせていました。大豆は満州、お米は朝鮮です。日本の農業人口を第二次産業にシフトさせ、工業生産力をアップさせ、近代国家への脱皮を図っていくという戦略です。

 この戦略は陸軍ではなく、政党内閣が考えました。特に民政党です。濱口雄幸や井上準之助は、地方を犠牲にして農民を食い詰めさせ、彼らを横浜とか神戸に出てこさせました。スコットランド農民が追い出されて、イングランドで低賃金労働者になったのと同様に、みんな都会へ出てくれば良いのだという発想です。

 しかしだとすれば、その分のお米は誰が作るのでしょうか。朝鮮です。こうして濱口雄幸が推進したのは、朝鮮でお米をたくさん作るという増産計画です。これが大正時代から昭和にかけて行われたことです。

 朝鮮総督府も同様です。朝鮮総督府は、朝鮮の人たちを食べさせないと反乱が起きると考えました。反乱を起こさないようにするためには、朝鮮人を豊かにしなければならないということです。第2次産業は、まだ難しい状況でした。第1次産業でたくさんお米を作ってそれを日本が高く買えば、朝鮮の農民は豊かになり、日本の統治を喜ぶだろうということです。

 そのためには、日本のお米よりも安くおいしいお米を作り、どんどん日本に輸出することで、日本本土の農民が食べられないようにする必要があります。朝鮮が食えないと、反乱が起きて朝鮮総督府は成り立たないからです。当時のいろいろな審議会の記録を見ると、朝鮮総督府の役人はこうした理屈でした。われわれが朝鮮を統治するためには、日本の農民が泣くのは当たり前だというものです。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(7)ポグロムとホロコースト
歴史の中のユダヤ人大量虐殺…ポグロムとホロコーストの違い
鶴見太郎
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
明治維新から学ぶもの~改革への道(3)明治天皇と五箇条の御誓文
国是として現在も生きる明治天皇「五箇条の御誓文」の影響
島田晴雄
こどもと学ぶ戦争と平和(6)平和な社会を守るために
チャーチルの名著『第二次世界大戦』に学ぶ真の平和への道
小原雅博
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将