戦前日本の「未完のファシズム」と現代
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太平洋戦争はなぜ、誰が始めたのか…日本が戦った理由
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(9)質疑応答編
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
日本が真珠湾攻撃に至った経緯はどのようなものだったのか。アメリカの策略という説もあるが、責任の所在が曖昧であったことにもその要因がある。シリーズ最終話は講義後の質疑応答編として、太平洋戦争の開戦に関する二つの質問に答える。(2020年2月26日開催・日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「戦前日本の『未完のファシズム』と現代」より9話中9話)
時間:5分51秒
収録日:2020年2月26日
追加日:2020年8月11日
≪全文≫

●真珠湾攻撃はアメリカの戦略だったのか


―― 質問があります。太平洋戦争における真珠湾攻撃の際、空母が重要だったアメリカは、パールハーバーからすでに空母をほとんど避難させていたといわれています。つまり真珠湾攻撃は、アメリカの仕組んだ話だというのです。そういった説がいろいろありますが、実際にはどうだったのでしょうか。アメリカも当時はモンロー主義で、不戦という立場を取っていたため、日本をわざと誘導したのでしょうか。

片山 これについてはいろいろな議論があります。最近ではそうした考え方は一時期よりも強まっており、説得力のある議論が展開されています。

 ルーズベルトがいかに日本に先手を取らせるかと考えていたと言う点については、私もある程度同意します。しかし、アメリカの太平洋艦隊の状況の中で、空母がパールハーバーにいなかったのは空母が大事だったからだという議論については、疑問が残ります。証明するような材料もないのではないでしょうか。皆さんご存知の通り、あの時に空母は、近海に演習に出ていてパールハーバーにはいませんでした。そのため山本五十六は、お目当ての空母がいなかったため、しょげたといわれています。

 仮にあのときにパールハーバーに空母がいて、空母にもダメージを与えられたとしても、少し日本が自由にやれる時間が長くなっただけだったでしょう。終戦が昭和21(1946)年ごろに伸びた程度です。

 アメリカが戦略的に日本に手を出させたのだという説は、かなり説得力があると思います。ただし、空母の状況のような戦場の具体的な点まで含めると、疑問符がつきます。


●太平洋戦争の開戦を誰がどうやって決めて始まったのか


――  当時の制度として、天皇が専権的にものを決められない仕組みがあり、だから戦争の終結も、御聖断という形になった。それは理解できるのですが、スタートした時はどうだったか。例えば真珠湾攻撃です。これはどういう形で、誰が決めて、どうやって始まったのでしょうか。

片山 開戦の経過については、最近のものも含めてさまざまな研究があります。しかし共通していえるのは、アメリカは日米交渉によって、中国大陸における日本の権益から大幅に得ようとしていたという点です。それに対して日本の外交のスタンスは、明治以来の歴史経過から考えて、妥協することができませんでした。日本はかなり土壇場まで...

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