法隆寺は聖徳太子と共にあり
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
フェノロサと岡倉天心の「初の夢殿開帳」は実はねつ造?
法隆寺は聖徳太子と共にあり(7)日本古代史の謎に迫る
大野玄妙(法隆寺第129世住職、聖徳宗第6代管長)
なぜ聖徳太子は皇太子のままであり、天皇になれなかったのか。誰もが抱くであろうこの問題に、法隆寺管長・大野玄妙氏がいくつかの可能性を示す。一つ目は、日本のみならず中国や朝鮮でも見られた、「女性」政権の潮流だ。二つ目は、実は聖徳太子は天皇になっていたのではないかというものだ。大野氏が、日本古代史の謎に迫った。(全8話中第7話)
時間:8分42秒
収録日:2016年3月9日
追加日:2016年11月12日
≪全文≫

●フェノロサの夢殿開帳は「捏造」だった?


―― フェノロサと岡倉天心が法隆寺の夢殿を開帳したと言われているが、そのことについて当時の管長は何か話していたか。また聖徳太子はなぜ天皇になれず皇太子のままだったのか。

大野 私は3歳からこのお寺にいますが、その段階では既に(法隆寺に)おられませんでした。その当時のトップは直に亡くなられましたが、その方はその時はおられません。慶応3年生まれの人ですが、長く京都の泉涌寺で勉強されておりましたので、帰ってこられたのはけっこう大人になってからです。そういう状況でした。

 それから、いまお話しされたフェノロサについて、私もフェノロサ学会の会長さんも心やすくてよく知っていますが、実は(夢殿を開いたという)あの記事は、感激のあまりフェノロサが捏造したものです。本当は、それより前に開かれているのです。

 その文書が、東京国立博物館の資料室にあります。フェノロサが開ける以前に、国が宝物調査を行ったのです。その時に開かれています。(世間的には)フェノロサが開いたということになっているから、それでも構わないのですが、厳密に言えばそうではないことになるということです。ただ開けたといっても、一部の関係者だけが開いて、そしてまたガッと収めてしまったのでしょう。ですから、かなり修飾が加えられていると考えた方がいいかなと思います。


●聖徳太子が天皇にならなかった理由


 もう一つ、聖徳太子さんがなぜ皇太子でありながら天皇にならなかったのか。これにはいろいろな説があります。その前の崇峻天皇が、暗殺されているのですね。だからあえてならなかったという可能性が一つあります。もう一つはそうではなく、あの当時、女性が治めていくことが、世の中の流れをソフトにしていって変えていけると考えられたことが、重要なポイントだったのではないかと思います。

 われわれ日本人の間でも、女性差別の問題がよくあるでしょう。そういう場所で私はよく話をするのですね。日本の国は、一体いつから男性が上位で、女性が・・・と考えられるようになったのか。これはやはり、よく考えておく必要がある問題だと思います。

 明らかに古代の日本は、女性上位です。それでずっと来たのです。恐らく平安時代までは、女性上位です。というのも、通い婚でしょう。本当の旦那さんが誰かを知っているのは、女性だけなの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑