アンチ・グローバリズムの行方を読む
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
『ヒルビリー・エレジー』が示す私たちの知らないアメリカ
第2話へ進む
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
グローバリズムとそれへの対抗(アンチ・グローバリズム)の関係をどのように考えれば良いのか。グローバリズムは、格差の拡大、既成権益の毀損、製造業の没落などを引き起こし、バックラッシュを浴びている。その中で米中などの大国も、国家主権の維持やデモクラシーとのせめぎ合いの中で、新しい局面を経験している。(全6話中第1話)
時間:9分39秒
収録日:2019年11月7日
追加日:2019年11月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●グローバリズムは格差を拡大させた


―― 本日は、岡本行夫先生と伊藤元重先生に、「グローバリズム、アンチ・グローバリズムの行方を読む」というテーマでお話を頂きたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 グローバリズムは、これまでずっと続いてきました。しかし、米中の対立やヨーロッパの状況を見ていると、最近の傾向として、グローバリズムに対する「アンチ」、つまり対抗し反対するような動きが、かなり強まっているという論調が見受けられます。全体的な感覚としてこれをどのように考えるべきでしょうか。まず岡本先生からお願いいたします。

岡本 ご承知の通り、グローバリズムは1991年にソビエト連邦が崩壊したことで、一気呵成に進みました。ヒト・モノ・カネ・情報・技術についての国境が低くなり、自由に行き来するようになりました。それまでは、「絶対的貧困層」という、1日1ドル90セント以下で生活しなければいけない人たちが世界の約33パーセント、3分の1ほどいました。

 それがグローバリズムの進行した10年間で、貧困層は約11パーセントにまで減り、世界経済全体の底上げに大きく寄与したことは間違いありません。しかし最大の問題は、貧乏な人たちの経済的上昇が緩く、金持ち、つまりもともと財を持っていた人たちが、ますます豊かになり、格差が拡大してしまったことです。


●ヒトの移動によるバックラッシュの出現


岡本 もう1つは、国境が低くなったことに伴って、移民や難民の大きな移動が、特にヨーロッパに向かって始まり、それに対して、昔からの住民や既成権益を持っていた人たちが猛烈なバックラッシュを起こしました。それにより、アンチ・グローバリズムが出てきました。

 だた、それだけではありません。ちょうどこの時期に、経済のIT化や急激な生産効率の拡大によって、労働が人を選ばなくなりました。そのため、特に製造業で失業する人たちが増えました。そして、この原因がグローバリズムにあり、いずれ海外からの労働者に職を奪われるのではないか、という風潮が出てきました。いわば、グローバリズムが濡れ衣を被せられた形になったのです。


●世界中で独裁者が生まれ、世界が急速に変わっている


岡本 またこれについて、もう1つ論点があります。グローバリズムとは直接関係はないのですが、世界に独裁者が増えたという問題です。習近平主席、ウ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
編集部ラジオ2026(33)鎌田東二先生の法華経講義解説-2
【10min名作探訪】大丈夫だよと励ましてくれる『法華経』…鎌田東二先生の講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留