アンチ・グローバリズムの行方を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
周辺国全てと領土問題を抱える日本が身を守っていくために
アンチ・グローバリズムの行方を読む(4)米中関係と日本
米中関係を考える上で、経済摩擦は主要トピックとなっている。アメリカは明確に反中的態度を表明したが、その背後にはアメリカから中国への先端技術流出がある。こうした対立に際し、日本はどのようなスタンスを取っていくべきなのか。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:13分11秒
収録日:2019年11月7日
追加日:2019年12月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●米中対立の行方は?


―― まさに米中対立についてなのですが、アメリカはこのままもう、中国に対して厳しいまま突っ走るのでしょうか。この点は、どう分析していらっしゃいますか。

岡本 2018年10月に、マイク・ペンス副大統領は反中演説、つまり激烈な中国批判演説をしました。さらに2019年10月24日には、もう1回やりましたよね。そこでは論調が一段トーンアップしていますし、はっきりと「中国はアメリカにとっての経済的・戦略的ライバルである」と言い切っています。もちろん、「中国が態度を改めてくれれば、仲良くしてあげよう」というメッセージが最後についていましたが、しかし、あそこまで完全に袂を分かち、「中国はわれわれと異なる価値を有した国だ」と宣言したのは、大きな事実です。

 さらにいえば、今の中国に対するアメリカの警戒心・恐怖心は、ペンス副大統領だけのものではなく、共和党を超えて、アメリカというインスティテューション(institution)、アメリカという国家全体の認識になってきてしまったと思います。

 経済の方については、アメリカも相当な返り血を浴びて、損しています。そのため、この点ではどこかで手を握ると思いますよ。特にトランプ大統領は、全てを選挙の観点から考えていますからね。今のように中国と喧嘩したままでは、選挙の票にはあまりつながりません。彼は、「どうだ、こういうことができたぞ」「俺のおかげでこんなに良い協定や約束ができたんだ。中国はこんなに譲ったんだぞ」と、実際にはたいした譲歩でなくても、中国との交渉を政治的な材料として、選挙に有利になるよう役立てようとするでしょう。

 だから僕は、米中の経済摩擦自体の行方は深刻ではありますが、果ては決着するだろうと思っています。ただ残された、安全保障上の政治的・戦略的・文化的・人権的条件や、香港・台湾についての立場については、アメリカと中国が今までのように平和で安定的な関係を築くのは難しいのではないかと思っています。


●アメリカにとっての先端技術産業は死活問題である


伊藤 今のテーマもその通りだと思うのですが、気になるのは、経済のなかでもトランプ大統領が始めたいわゆる貿易戦争です。中国が輸出でけしからんことをしているとか、アメリカが損しているとか、これは何らかの形で次第に収まるかもしれません。ただ、これによって引き起こされてしまった...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子