数学と音楽の不思議な関係
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童歌「あんたがたどこさ」は何拍子?変拍子の不思議な魅力
数学と音楽の不思議な関係(2)リズムと数の不思議と変拍子
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数学と音楽の親密な関係を知るのに、リズムはもってこいの要素だ。世界のどこでもリズムは数でカウントされる。その中でも、例えば「あんたがたどこさ」は目まぐるしく変わるような「変拍子」だが、日本人はだれもが簡単にリズムをとっている。また、特に5拍子や7拍子、9拍子などの変拍子を2と3の和と捉えていくと、それらを好む民族のグルーブが次第に感じ取れる。さらに、1小節をいくつもの拍子に分けていくと、なんとそれは幾何学につながってしまうのだ。(全4話中第2話)
時間:13分51秒
収録日:2025年4月16日
追加日:2025年9月4日
≪全文≫

●リズムを通せば音と数の関係が分かる


 今回は音楽の中でもリズムの話です。数学ないし数との関係でいえば、リズムはだいたいどこでも「1、2、3、4」と数えるわけで、数学というよりも数に関係しています。そんなお話を、少ししてみたいと思います。

 皆さんは4拍子とか、ワルツなどで3拍子とか、そうしたものに慣れていると思いますが、例えばこの間来てくれたトルコの音楽家によると、トルコには「9拍子」「7拍子」「10拍子」などの変わった拍子が多彩にあります。東ヨーロッパのほうやインドなどでもいろいろな拍子があります。

 日本でも、例えば盆踊りなどでは、よく数えてみると「13で回る」など、とても不思議な拍子がたくさんあります。それらの拍子によって、(曲の)雰囲気が全く違うので、それが面白いところです。例えば5拍子にも、「2+3」や「3+2」など、いろいろな5拍子がありますので、そのあたりは後で見ていきたいと思います。

 他によくいわれるところとして、本当かどうかは分かりませんが、騎馬民族として馬とずっと一緒に暮らしてきた人たちは、「パッカパッカパッカパッカ」の3拍子に慣れている人が多い。こうやって鍬を振るう農耕民族は、割と2拍子や4拍子が多いと、まことしやかにいわれています。このあたりの研究もたいへん面白いところだろうと思います。


●「あんたがたどこさ」のめくるめく変拍子


 ちなみに、例えば「あんたがたどこさ」。だいたいの人は知っていると思いますが、ここに譜面があります。

 「♪あんたがたどこさ ひごさ」の「ひごさ」のところは2拍子になり、「ひごどこさ」では3拍子になって、「くまもとさ」も3拍子で続き、また「くまもとどこさ」で4拍子に戻る。

 このようにどんどん(音楽でいう)「拍子」、おしゃべりの場合の「文節」が目まぐるしく変わるような「変拍子」というものが、世界にはたくさんあります。「あんたがたどこさ」などはみんなが簡単にやっている(手まり歌)ですが、実は複雑なものです。

 世界でも、足を回したりスキップをしたりするときは3拍子になり、普通に歩くときは2拍子になるなどといった具合に、体を使って拍子を捉えている民族も多いのです。

 また、日本の邦楽も、最近、お能の方とよくご一緒させていた...

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