未来を知るための宇宙開発の歴史
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最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性
未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術
科学と技術
川口淳一郎(宇宙工学者/工学博士)
技術の発達・発展により、宇宙空間を利用したさまざまなサービスが考え出されている。人間の環境を便利にするものであり、また攻撃技術にもつながるものであるが、さまざまな可能性を秘めている。さらに宇宙空間の利用は、天文学や宇宙生命学といった学問領域にも多大な恩恵をもたらしている。その一端を、ここで紹介する。(全14話中第13話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分52秒
収録日:2024年11月14日
追加日:2025年10月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●「宇宙のゴミ」をどう回収するか


―― 続いては、第1話目でもご指摘いただいたデブリ(宇宙のゴミ)をどう片づけるかという問題です。

川口 高度な宇宙サービスにはどのような展開があるかの1つの例が、「Debris Removal(デブリ除去)」です。「ADR」も「Proximity Capability」も同じで、近傍サービスとでも言いましょうか(デブリを回収するためには近くに行かなければいけないので)。右下は、アストロスケール社が2024年5月、ロケットの残骸に接近して撮った写真です。写真を撮るのはランデブー(宇宙空間での接近)なので、ここまではできる。この先、どうするかが問題です。

 一つの方法は、左上に描いているものです。これは欧州宇宙機関が作成している絵ですが、ネット(網)をかけるかどうかは別として、近くまで行き、然るべき方向から接近し、相手を拘束する。そのあと、普通の考え方からすれば、エンジンを作動させ、自分自身とともに相手を大気圏に再突入させてなくしてしまうという方法です。

 実際にこれがビジネスとして成り立つかどうかは別問題です。回収費用が非常に高額ですから、衛星ごとにこれを落としていったのでは割に合わない。1回の飛行で1個のデブリしか落とさないようではビジネスとして非常に疑問符がつきます。ただ、これを応用していくと近傍サービス能力が培われることになるので、重要なのです。

 左はおもちゃのようなものが描かれています。これはマニピュレーター(多関節ロボット)です。右は多関節ロボットではなく「イントボール」と呼んでいますが、国際宇宙ステーションの中を浮遊しながら、いろいろなサービスを提供するロボットです。こういったロボットが、今後は宇宙開発を支援していくわけです。これらも「ADR」と並ぶ近傍サービスの一例です。


●高度な宇宙サービスは軍事技術と表裏一体


川口 近傍サービスは考え方を変えると、デブリを除去するだけではなく、相手の衛星の機能を停止させるという応用方法があって、攻撃能力につながってきます。

 相手を粉砕するタイプの攻撃能力もあるのですが、それでは結局、デブリが浮遊してしまい、自身の環境を悪くしてしまうだけです。むしろ考え方としては、例えば近傍に強力な波源を出して相手の機能を...

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