未来を知るための宇宙開発の歴史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
川口淳一郎(宇宙工学者/工学博士)
現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各国の宇宙開発を継続・発展させるための策でもあったという。(全14話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:12分37秒
収録日:2024年11月14日
追加日:2025年9月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●現在の宇宙開発の合言葉は「国際月探査」


―― 先生、続きまして「月から火星へ」というテーマですが、これは、どのようなお話になりますか。

川口 今、世界の宇宙機関同士が話し合って「宇宙開発がサステナブルになるようにする」ための活動をしています。そして投資する方向として「国際月探査」が合言葉になっている。

 先ほど、「嫦娥(じょうが)5号」が月からのサンプルリターンをやってのけたという話をしました。今、中国は独自で月に人を送りたいと思っています。だから中国は「国際月探査」には参加していない。以前の冷戦時代であれば、対中国ということでアメリカは威信をかけて対抗したかもしれませんが、今、アメリカ国内で月に有人で向かわなければいけないと考える人はほとんどいません。なぜかというと、すでにやり遂げたからです。それをしなければならない理由がなかなか見つけられない。

 ただ中国が有人の月探査をするとなると、いってみれば月はアメリカだけが人の足で踏み込んだことのある天体であり、アメリカは別の権利の主張を行われたくない。「アメリカ1国で」ということでは国民の同意は得られないので、宇宙開発に巨額を投じていくための目標が必要なのです。

 そういった観点から「アメリカ1国では行けないけれど、みんなでやりませんか」ということで、国際宇宙ステーションの次に来るべきものとして「国際月探査」を掲げている。協働で月に行くようにしてはどうかということで、「アルテミス合意」(※米国主導の有人月探査計画「アルテミス計画」の実現に向けた多国間での法的枠組み)が作られたわけです。それがいってみれば、各国の宇宙機関が経費を支出しなければいけない動機になっているのです。


●月探査は「確実に成果を挙げる」方法が望ましいが……


 左はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の小型月着陸実証機「SLIM」です。見ると分かりますが、上にノズルがついている。要するに上下がひっくり返っています。

 右は、その直後に打ち上げられた、アメリカの民間企業による月着陸機「オデュッセウス」です。これは成功したといわれていますが、その具体的な確証がなかなか見えてこない。着陸したあと程なく通信が途絶えたようです。

 JAXAが先行してよかったと思います。民間企業が行ったあとにJAXAの探査機が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
火山の仕組みを知る(1)火山の世界的分布と噴火の仕組み
火山噴火が起こるメカニズムと日本の火山の特徴
藤井敏嗣
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
Beyond5G・6Gで進む情報通信の民主化(1)情報通信の民主化と「協創」
6Gの研究開発を推進する情報通信の民主化
中尾彰宏

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…(1)
『きけわだつみのこえ』を読むと今でも涙が止まらない
野田一夫
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保