未来を知るための宇宙開発の歴史
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ロケット開発の功労者たち…草創からV2、スプートニクへ
未来を知るための宇宙開発の歴史(2)宇宙開発の初期段階
川口淳一郎(宇宙工学者/工学博士)
宇宙へ飛び立つために必要なロケット開発は「だれが、どのようにして」生み出したのだろうか。また、第二次世界大戦から戦後、米ソの冷戦の時期にかけて、どのような開発・進化を遂げていったのか。その背景に迫りながら、初期のロケット開発の過程、その黎明期を解説する。(全14話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分53秒
収録日:2024年11月14日
追加日:2025年7月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●ロケットに関する方程式を生み出した技術者


―― 続きまして、宇宙開発の初期ということですね。

川口 そうですね、初期の宇宙開発では、どのようなことが行われていたか。

 宇宙開発の初期に「誰が、どのようなことをしたのか」についてはよく聞かれますが、1人挙げるとすると、コンスタンチン・ツィオルコフスキーでしょう。資料の右に風船のようなものが描かれていますが、これは燃料があって酸化剤があって(液体水素と液体酸素)、ロケットの原型のようなものです。これで推進力を得て、加速をしていく。下には簡単な式が書いてあります。「ロケットがどのくらい加速できるか」という基本的な関係は、この式に書いてある通りです。

―― これはどう読み解くといい「式」なのでしょうか。

川口 これは、ロケットの最初の質量を「m0」、時間T経過後の質量を「mT」、ロケットの性能を支配する比推力を「Isp」とすると、ロケットの推進(v)が決まる。つまり、重さの比と推進系を特徴づけるパラメーター(Isp)で、どれだけ加速できるかが決まるという式です。最も基本的なロケットの原理に関する式になっています。

 例えば、「2段式、3段式ロケットがどうして必要なのか」とか、「離陸時にどのくらいの重さがあると、どれほどの物が月に運べるか」など、基本的には全部、こういった式で記述されていくことになります。非常に簡単な式ですが、これをきちんと表現したということで、ロケットが“設計”の段階まで発展していく。100年以上前の話をしているわけですが、こういった関係式をつくり出したのが宇宙開発のスタート地点ではないか。そう考えれば、ツィオルコフスキーは宇宙開発の技術者の第1号といえるでしょう。

―― なるほど。写真には1934年とありますね。

川口 このあと、まさに宇宙開発が始まろうというときにお亡くなりになる(1936年没)。そういう意味では、宇宙開発に先駆的な健闘をされたということです。


●アメリカで非常に有名な「ロケットの父」


川口 次は、アメリカの有名な宇宙技術者、ロバート・ゴダードです。アメリカでも、実際にこの人がロケットをつくっていました。過酸化水素とエチルアルコールを使った液体ロケットです。右に見えるのはゴダードが最初につくった...

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