●宇宙開発の流れを「6枚の画像」で見ていこう
―― 皆さま、こんにちは。
川口 こんにちは。
―― 本日は川口淳一郎先生に、「未来を知るための宇宙開発史」ということで、宇宙開発の歴史についてお話をいただきたいと思います。川口先生、どうぞよろしくお願いいたします。
川口 よろしくお願いします。
―― 川口先生は小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーもお務めになり、実際に宇宙開発の技術に携わってこられました。今日は、その宇宙開発についてロングスパンでお話をいただきます。
日本のみならずアメリカ、ソ連(ロシア)、中国等々の動き、また今後の課題についても、ぜひいろいろとお話しいただきたいと思っています。
まず、最初にお話しいただけるのはどのような内容でしょうか。
川口 6枚ほどスライドをご覧いただきます。必ずしもこれらが一番のトピックではないのですが、宇宙開発の流れを話すためにはいいかと思います。
―― それぞれどういった写真なのでしょうか。
川口 「宇宙開発の始まりから、将来に向かって」というものです。始めに、左上はアメリカが打ち上げた最初の人工衛星の写真です。
―― この細長いものがそうですね。
川口 「エクスプローラー(Explorer)」といいます。「スプートニク」が世界初の人工衛星で、旧ソ連が打ち上げました。だから、大慌てでアメリカが一生懸命、ソ連に追いつこうということで、スプートニク打ち上げの翌年にこれを打ち上げるのです。3人が手を挙げていますが、非常に嬉しかったであろうと思います。あとで紹介するように、この中にはアメリカの宇宙開発に大きく関わる技術者フォン・ブラウンなどが写っています。いかに“スプートニク・ショック”が大きかったかを示す、一つの貴重な写真です。
―― よくいわれますが、当時、宇宙開発は「国威発揚のため」「国の威信をかけて」という面があったわけですね。
川口 冷戦の真っただ中なので、米ソの宇宙開発競争となりました。あえてアメリカの衛星を出したことは、アメリカの焦りを感じさせるものですよね。
―― なるほど。
●冷戦後はロシアを含めた「国際協働」が掲げられた
川口 左下は、アメリカ初の宇宙飛行士ジョン・グレンです。人として初めて地球の軌道を周回飛行しました。とても有...