宇宙探査の現在と可能性
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有人火星探査のためにどれくらいの時間と物資が必要なのか
宇宙探査の現在と可能性(3)有人火星探査の概算-1
小泉宏之(東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授)
有人火星探査にかかる時間や必要な物資はどれほどなのか。時間に関しては、地球と火星の軌道を考えると、往復の際には惑星の配置がベストな状態になるまで待つ必要がある。また物資に関しては、水や酸素、人数、食べ物、居住空間などから多面的に計算する必要がある。(全10話中第3話)
時間:11分28秒
収録日:2019年6月11日
追加日:2019年7月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●宇宙探査のために必要なものとは?


 続いて、有人火星探査の概算について説明していきたいと思います。

 まず、深宇宙探査をするために必要な、基本的物質について考えみたいと思います。基本的な宇宙探査は無人で行いますが、そのときに必要なものはまず宇宙空間に出るためのロケットです。その次に、通信を行ったり姿勢を制御したり電力を発電したりする探査機そのものが必要です。さらに、通常であれば宇宙のどこか遠くまで探査に行くので、そのときのためにエンジンと推進剤が必要となります。特にこの推進剤の量が多いことには注意が必要です。

 これに対して、有人の場合必要な物資が増えます。まず、有人なので当然人が増えます。そして、人がいると、当然この人の生命を維持させるために水や酸素、食料が必要になるでしょう。さらに人がいるとなると、居住区も必要となります。今回、有人の火星の往復探査を考えるとなると、火星に行くための着陸船も必要となります。このような物が増えた際、全体でどれくらいの重さになるかということを、ここでは非常に大雑把ですが概算してみたいと思います。


●地球を出るところまでは数日あれば十分


 火星に行ってまた帰ってくるための道筋は、前回大雑把に説明したので、今度は時間を計算してみたいと思います。

 有人ですので人がいるということで、人がいると人が食べる食料、水、酸素の量が時間に伴って変化していきます。これはどれくらい必要なのでしょうか。

 前回までの話をもとに、それぞれの段階でかかる時間を見積もっていきます。まず地球を出るところです。実は、このフェーズではあまり時間はかからず、数10時間から数日で済むと考えることができます。どこから地球を出たか次第なのですが、加速して地球からある程度遠いところに移るためには、数日あれば十分です。早ければ1~2日というレベルで地球から遠いところに移ることができます。


●地球から火星まで約260日かかる


 長いのはこの後です。地球をある速度で離れて、太陽周り...

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