宇宙探査の現在と可能性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イオンエンジンの実用化は2000年代から本格的に行われている
宇宙探査の現在と可能性(6)イオンエンジンとは-2
小泉宏之(東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授)
イオンエンジンの形成のためには、さらにイオンを加速させ、その後、中和器でイオンと電子を同数吐き出させ、探査機やエンジン自体を中性に保つ必要がある。こうしてできるイオンエンジンは、すでにさまざまな形で実用化されている。(全10話中第6話)
時間:7分20秒
収録日:2019年6月11日
追加日:2019年7月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●イオンエンジンの基本構造


 次の過程が、イオンの加速です。そのためには、イオンをこのプラズマの部屋から抜き出す作業が必要になります。

 基本的な原理としては、まずプラズマをつくっている原子に非常に高い電圧をかけます。そしてイオンを抜き出すために、容器についている薄い2枚の板のうち、下流側、つまり外側の板に負の電圧をかけておきます。こうして大きな電圧差を作っておくと、プラズマの正性質の中にあるイオンだけが外側に出ていきます。電子自体はプラスに引きつけられ、マイナスと反発する性質があります。電子が出ていこうとしても、弾かれて中に戻ってしまうので、プラスだけでは外に出ていくようになります。上のスライドは模式図です。

 実際のイオンエンジンがどのようになっているかというと、2枚の薄い板があり、そこに蜂の巣状に穴が空いています。上流と下流があるので、2つの穴がぴったりそろうようになっています。

 この穴の断面を見たのがこの図です。このスライドの右にある図では、左側が上流となるプラズマ生成側の板で、右側が外側の板を示しています。そして黄色い線で書いてあるのが、イオンが飛んでいく方向を簡易的な計算によって示したものです。イオンが外側にある板に引きつけられて真ん中に集まり、うまく壁に当たらずに外側に出て行く様子が描かれています。うまく壁に当たらずにイオンだけが外に出て行くように、両者の穴や位置関係を調整してあります。

 出て行くときの速度は、この2枚の板の電位差によって決まります。この電位差を大きくすれば、外に速い速度で出て行くことができます。


●イオンを取り出すと、電子が引き戻す作用を起こしてしまう


 こうしてイオンだけを取り出して終わりかというと、そうではありません。もう一つ重要な段階があります。イオンと同数の電子を出さなければならないのです。その役割を行うのが「中和器」と呼ばれるものです。

 仮に中和器がないと何が起きるかということを考えてみます。


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(2)“変わり者”の生かし方と後継者選び
「人材の組み合わせ」こそ「尖った才能」を輝かせる必勝法
水野道訓
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
人間のほうがAIに寄ってしまう?…関係性と倫理のあり方
中島隆博
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
齋藤純一
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典