本当によくわかる「量子コンピュータ入門」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「最適化」の問題で活用が期待される量子コンピュータ
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(3)計算の仕組みと応用
武田俊太郎(東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻准教授)
量子の性質をもっともよく表す典型的な実験に「2重スリットの実験」がある。これは「水の波」を利用するとイメージしやすい。量子を「粒」ではなく「波」として捉えることで、そこで生じた「重ね合わせ」と「干渉」という現象を計算の原理に応用するということだ。そうして、薬や素材の開発、また最適化といった応用分野などに画期的な成果をもたらすことが、量子コンピュータに期待されている。(全4話中第3話)
時間:13分18秒
収録日:2022年3月9日
追加日:2022年8月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●2重スリットの実験――量子を「波」を考えるとイメージしやすい


 次に量子コンピュータの「計算の仕組みや応用」に踏み込んでお話ししたいと思います。

 「量子とはそもそも何か」をしっかりとお話ししていなかったのですが、端的にいうと、量子とは「物質やエネルギーの最小の単位」を表す言葉になります。

 例えば、世の中にある全ての物質は、小さく小さく見ていくと、原子という小さな粒からできていることが知られています。この原子も、ある種「物質の最小の単位」になっていて、量子の1つです。さらにもう一段見方を変えて、原子をさらに細かく見ていくと、原子の中に「電子」「陽子」「中性子」といったより小さな粒が出てきます。実はこういった粒も全部量子の仲間です。このようなさまざまな粒を合わせて、全部「量子」と呼んでいるのです。量子というミクロな粒の世界は、私たちの日常感覚で知っている世界とは少し違った、感覚的には不思議な自然法則に従うことが知られています。

 その量子の性質をもっともよく表す典型的な実験が「2重スリットの実験」と呼ばれるものです。この実験を知っておくと、なんとなく量子コンピュータがどういう仕組みで計算しているかもイメージできるようになるため、ここで少し紹介したいと思います。

 まず量子のことを少し忘れて、水の波のお話をします。水の表面をツンツンつつくと波が発生します。その水面を進む波が「隙間の空いた穴」にぶつかることを考えてみましょう。

 波というのは山・谷・山・谷と交互に繰り返されるような構造になっています。これがこの隙間を通り抜けると、そのちょっとあとで少し広がりながら後ろのほうに進んでいきます。その結果、後ろの壁の真ん中のあたりにもっとも強い波が当たることはなんとなくイメージできるのではないでしょうか。

 この隙間が2つあった場合が、「2重スリット」という言葉に相当するものになります。隙間が2つある場合に何が起きるかというと、1つの波が左側の隙間と右側の隙間をそれぞれ通り抜けて、後ろで重なり合います。その結果、後ろの壁の部分に、縞模様のように波が強い部分と弱い部分が表れます。2つの波が合わさるときに強め合ったり、弱め合った...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(39)上野誠先生の万葉集講義と現代
【10min解説】万葉集に学ぶ「公務員倫理法」の大失敗?
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(6)ピョートル大帝の宗教改革
王座に乗った革命家・ピョートル大帝の「宗教改革」と、ソビエト時代のロシア正教の「弾圧」と「利用」の実情
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(2)良き対話のための「問い方」の技法
良き対話のための「問い方」の技法とは?…ソクラテス流に「YES、NO」で答えさせ、お互いの考えを確認して進む
納富信留
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
林望
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
ロシア「内政・経済・外交」の真実(1)国民の支持を意識するプーチン政治
ウクライナ侵攻も支持率対策か…プーチン政治の実態に迫る
上月豊久
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎