宇宙探査の現在と可能性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
有人火星探査にはどれくらいの費用がかかるのか
宇宙探査の現在と可能性(4)有人火星探査の概算-2
小泉宏之(東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授)
有人火星探査にかかる費用について概算してみよう。火星探査のためには、地球の周回軌道に1000トンの構造物を打ち上げる必要があるが、宇宙ステーションやアポロにおけるミッションでかかった費用を考えると、最低でも数十兆円という莫大な費用がかかることが分かる。(全10話中第4話)
時間:13分28秒
収録日:2019年6月11日
追加日:2019年7月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●火星着陸船をアポロから類推する


 次に考えるのは着陸船です。火星有人探査では、火星の軌道上に行って帰ってきても良いのですが、できたら火星の表面に降りたいので、着陸船についても考えてみたいと思います。

 この着陸船を考えるのは、非常に難しいのです。今まで誰も、火星に着陸し、さらにまた打ち上がって帰ってくるという機体をつくったことはありません。有人であればなおさらです。またこれは、火星で実際に何を行うのか、降り立つ人数や降り立つ日数などによって、大きさや構造も大きく変わります。そのため、見積もりが難しいのです。

 しかしその中でも、ここで考えている物に一番近い物として、アポロの着陸船を考えてみたいと思います。これが唯一、人が重力天体に行き、帰ってきたときの乗り物です。これを参考にします。

 アポロ着陸船は、総質量が15トンで、この中のほとんどの重さは推進剤が占めていました。その重さは約12トンです。そして、構造と荷物が約3トンでした。この時に月に降り立ったのは2人で、約20時間滞在して戻ってきました。これから類推して、火星の着陸船の重さを決めたいと思います。結果的にはアポロの2~3倍の重さになります。


●大気と重力の違いがあるが、月と火星は良い比較になる


 しかし、アポロの着陸船は当然月の着陸船なので、火星の着陸船とは違います。ご存じの方もいるかもしれませんが、月と火星では重力が異なり、大気の有無も違います。とはいえ、少し考えると月と火星は着陸船を類推する上で良い比較対象になります。

 火星には大気があり、最初この星に入る際には大気を使ってブレーキをかけることができます。火星の大気は地球の1パーセント程度で非常に薄いのですが、これまでNASAが送り込んだ無人の探査機は、この大気を使いながらパラシュートを広げて大きな減速を行い、着陸しています。最後にはジェットや車のエアバックのような物を使いながら、着陸しました。エアブレーキを非常にうまく使って、減速し着陸しています。

 一方で月の場合、利用できる大気がまったくありません。そのため、原則的にはエンジンの力で減速しなければなりません。この点で考えると、火星の方がやはり有利...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤