ヒトは共同保育~生物学から考える子育て
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
妻の両親と夫の両親で孫に与える影響が違うってホント?
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(4)原点回帰と父親の子育て
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授/日本芸術文化振興会理事長)
長い狩猟採集時代からそれこそ昭和初期の頃まで続いてきた「共同保育」という子育て方法。それを「原点回帰」として捉えて見直すときが来ているのではないか。今回から2話に渡って行われる対談編。今回は子育てにおける祖父母のかかわり方や、父親の子育て、家事について考えていく。(全5話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:11分14秒
収録日:2025年3月17日
追加日:2025年9月21日
≪全文≫

●乱婚はない…一夫一妻で共同保育のヒト


―― 長谷川先生、本日はまことにありがとうございました。

長谷川 こちらこそ、どうも。

―― 今回、「ヒトは共同保育」というお話をいただき、いろいろな動物による違い、人間が発展・発達してくる過程での部分をお話しいただきました。ヒト(人間)の場合はやはり特別な見方をしなければいけないでしょうし、今の社会を考えるにあたっても背景を理解する必要がある。生物としてのヒトの背景を、しっかり考えていかなければいけないと思いました。

 最初に一つお聞きしたいのは、動物の場合は配偶と子育てにそれぞれ仕組み(その組み合わせ)がある一方、ヒト(人間)の場合は共同保育ということになり、両親だけではなく他人も含めた周りの人全てが一緒に育てるという仕組みだったと聞きました。

 そうだとすると、ヒト(人間)の本来の配偶システムはもともとどうだったのか。本当に一夫一妻なのか、それともみんなが育てるのだとすると乱婚がそもそもの形だったのか。いろいろと想像を働かせてしまったのですが、ここはどのようなことでしょうか。

長谷川 人間には非常に強い恋愛感情=愛着というものがあり、嫉妬もあります。このような心理状態があるということは、独占的に誰かと一緒にいたいということなので、乱婚ではありません。乱婚はいろいろな相手と次から次に組み合わさり、お互いに嫉妬もしないし、独占しようともしない。チンパンジーがそうですが、それとはまったく違うと思います。

―― チンパンジーには嫉妬がないのですか。

長谷川 嫉妬はしないですね。次々に並んで交尾するような状態です。一方、ヒト(人間)はどんな文化や時代でも、一人のヒトと一人のヒトの恋愛や強い愛情というものが必ずある。そういうものをなくしてしまおうとして、1970年代のカリフォルニアなどでフリーセックスの運動が起こりましたが、それをやってみても嫉妬はなくならなかったのです。

―― そういう取り組みや実験自体がうまくいかないというケースもあったと。

長谷川 ええ。カップルは絶対にありますから、カップルができるという意味では、多分一夫一妻なのでしょう。現象的にそうだろうと思うのですが、財産のようなものができてくると、一夫多妻になることが可能になった。それでも、一人の女の人と複数の男の人という一妻多夫は、極めて稀です。ただ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治