現代社会の問題点を見直すことから、親も子も丸ごと幸せになる方法が提言された対談編の後半。それは「親性脳」と呼ばれるスイッチを入れることである。そこは男性が育児休暇を取る意味とも深くかかわってくる。最終話では、ワークライフバランスとも関連する「共同保育」という子育て方法について考えていく。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
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●何でも縦割りの現代社会を考え直してみる
―― 現代社会において共同保育ということになった場合について、特にお聞きしたいのは、例えば保育園や幼稚園などをどう活用していくかというところです。実際問題、共働きの場合はそういうものをうまく使っていかないとできないケースもあります。ところが、一面、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省というように縦割りがあったりもします。このあたりで今の社会、特に日本社会の設計の形について、先生はどのようにご覧になっていますか。
長谷川 社会が複雑になっていくと、必然的に役割分担が縦割りになり、さらに、それをコンパートメント化して、「この仕事はここだけ」「この人はここだけ」というようにやったほうが効率がいい面はあります。一方、狩猟採集民は単純といえば単純な社会で、それほど細かい役割分担はありませんから、全てのことを一人のヒトがまずまずできるわけです。
(現代社会では)私もそうですが、電車を作ったり運転したりはできないし、コンピュータも作れないけれど使っている。使うだけになって後は他人任せ。任せて使えるのはお金を払うから。そういう構造になってしまったのが近代社会です。それが行きすぎたのがいわゆる縦割りということで、意思疎通をしなくなるのがその弊害だと思います。
だから本当は、もう一度全てのヒトが縦割りではなく横串を刺して、「何でも分かる」「何にでも少しは参加する」というように変えていかないと、袋小路で行き詰まると思います。特に日本は縦割りがひどいと私は思っていて、「お父さんはこっちだけ」「お母さんはこっちだけ」というのも、同じ縦割りだと思います。
それでも生活はまるまる一つだし、いろいろな人がいろいろな経験を持っているのだから、みんなで横串を通したほうが絶対いいはずです。それをなんとか変えられませんかねと。
●保育園育児で子どもとの時間が減る悩みに向けて
―― 社会の方向性としては、もうそういう流れにはなってきていると思います。そこをどうしていくか迷うところもある一方、特に今の(子どもの)ご両親でどうすべきか悩んでいる方も多いはずの問題ともつながると思います。
いわゆる共同保育をする場合、「共働きなので保育園に預けます」というケースでは、どう関わるべきか。特に(子どもとかかわるのが)短い時間になるのでどうしよう...