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「バカげたアイデア」が成功する!? カギは不満と情熱と改善

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(5)スタートアップ成功の秘訣:前編

桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
概要・テキスト
Yコンビネーターで経験を重ね、紆余曲折を経てOpenAIの事業を成功させたサム・アルトマン。彼のように、革新的で、多くのユーザーに愛されるサービスを生み出すためには、どのようなマインドセットが必要なのだろうか。「素晴らしいアイデア」とは決して斬新なアイデアでも、誰もが絶賛するアイデアでもない。大事なのは、アイデアのまま終わらせず、まず形にしてみることである。今回は、サム・アルトマンの言葉からスタートアップ成功の秘訣を学ぶ。(全8話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:25
収録日:2024/03/13
追加日:2024/05/17
≪全文≫

●不満の解消と「もっといいものを」という思いから素晴らしいアイデアへ


―― 続きまして、いよいよサム・アルトマンが考えるスタートアップ成功の秘訣です。

 自分自身が、起業してYコンビネーターで経験を積み重ねたのですけれど、まず最初の秘訣としては「素晴らしいアイデア」ということですね。

桑原 そうですね。サム・アルトマンに限らず、Yコンビネーターがそうなのですけれど、アイデアというのは世界初である必要はないわけです。よく「世界初のアイデア」とかいうではないですか。誰も考えていないアイデアとか、そういうことに対してはそれほど強いこだわりはないのです。

 ただし、それは例えばグーグルの検索エンジンであれば、それ以前に検索エンジンはいっぱいあるわけです。フェイスブックの交流サイトについても当時はいっぱいありました。それこそ10何番目ぐらいのサービスだと、ともにいわれているのですけれど、それが完璧とは限らないわけです。

 そこに対するものすごく強い不満が出て、もっといいものを作りたい。だから、よくいわれるのですけれど、スティーブ・ジョブズのiPhoneにしても、別に世界初ではないのです。同じようなものはあったのだけれど、ジョブズから見ると、それはクズだったということです。

 その部分の、もっと良いもの、使いやすいものを、本当にそれを使って作る。だから、個々の素晴らしいアイデアというと、本当に誰も考えていないものというイメージがとても強いのですけれど、サム・アルトマンがいっているように、それは誰も思いつかないアイデアとかみんなが絶賛するアイデアとは限らないのです。

 そうではなくて、本当に普通の人が、今のサービスには不満で、それを全部解消してくれるようなすごくいいもの、使いやすいものを求めているのだ、それが素晴らしいアイデアなのだということです。この部分は、誤解されている人も意外に多いのかなと思うのです。

―― 今までないものでなければいけないとか、画期的なものでないといけないとか、必ずしもそうではないということですね。

桑原 そういうことですね。

 ですから、先ほど(前回話に)出たエアビーアンドビーですが、部屋を貸すというのはなんてことのないアイデアなのですけれど、それ...
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