不便益システムデザインの魅力と可能性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ビブリオバトル、るるぶ創刊号の旅…不便を楽しむアイデア
不便益システムデザインの魅力と可能性(6)不便益デザインの実践:コト編
川上浩司(京都先端科学大学工学部教授)
不便益が活用される対象はモノだけにとどまらない。例えば「ビブリオバトル」や「京土産」、「るるぶ創刊号の旅」など、イベントやツアーといった体験や経験という「コト」の分野でも十分に生かすことができるのだ。前回の講義に引き続き、日常にある便利な事象を不便益デザインに変えていく実践が紹介される。(全7話中第6話)
時間:7分39秒
収録日:2020年12月8日
追加日:2021年5月28日
≪全文≫

●「今だけ、ここだけ、僕らだけ」から考えられた「ビブリオバトル」


 不便益のデザインはモノだけでなく、コトにも施されます。例えば、私どもの研究室でポスドクをして、現在は立命館大学の教授をしている方が考え出した「ビブリオバトル」というものがあります。

 ビブリオバトルとは書評合戦です。近年、書評は、ウェブやブログでされています。そのため、自分のブログにいつでもどこでも好きなときに好きなだけ書いて、読む人もいつでもどこでも誰とでもウェブを使って読むことができるので便利です。

 この「いつでも、どこでも、誰とでも」が便利のスローガンならば、その逆に「今だけ、ここだけ、僕らだけ」という不便を書評に取り入れるために考えられたのが「ビブリオバトル」なのです。

 ビブリオバトルは、ある場所に、ある時に、実際に、フィジカルに集まって、そこで書評を交わすものです。そのときには時間制限の不便があります。そして最後に、参加者全員が書評を語った後にどの本が読みたくなったかを挙手で選ぶという、ある種のイベント性もあります。これは不便にもかかわらずとても人気になり、東京都主催の全国大会が開かれるまでになっていました。


●ゲットする不便を思い出話にする「京土産」


 他にも例があります。学生さんと京都駅が便利すぎるという話をしていて、京都駅を不便にしようと考えました。それで思いついたのがお土産です。

 せっかく京都に来ているのに、帰り際の新幹線に飛び乗る直前に買ったお土産が、有名なお菓子屋さんのお菓子だというのは便利すぎます。本来、お土産は、旅の思い出とともにあるべきです。

 そこでこの学生が考えてくれたお土産は、京都駅に着いたときにある風呂敷を買い、その風呂敷を持って本店まで足を運べば、かの有名なお菓子屋さんのお菓子をその風呂敷に入れてくれるという仕掛けです。そして、その風呂敷を持って別のお菓子屋さんに行くと、そのお菓子屋さんでも同じ風呂敷にお菓子を詰め合わせてくれます。京都で有名な、別々のお菓子屋さんのお菓子が、一つの風呂敷、一つの箱に詰め込まれるなんて、ほぼあり得ないことです。けれどもこの仕掛けでは、この風呂敷を持っているとわざわざ足を運ぶという思い出とともに、かのお店の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
仏法僧の三宝――なぜ1人で仏教に向かってはいけないのか
中島隆博
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
歌舞伎はスゴイ(3)歌舞伎のサバイバル術(前編)
草創期からの度重なる「規制」と「スキャンダル」を超えて
堀口茉純
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
健診結果から考える健康管理・新5カ条(2)健診結果はダルマ落としでアプローチ
バラバラ事件!? 検査項目をバラバラに見てはいけない
野口緑
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一