不便益システムデザインの魅力と可能性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「素数ものさし」は4万本売れた大ヒット不便益商品
不便益システムデザインの魅力と可能性(5)エモーショナル・デザインと不便益の活用
川上浩司(京都先端科学大学工学部教授)
ユーザビリティデザインを説明する際に「アフォーダンス」という概念を参照したD.A.ノーマンが、次に提唱したのが「エモーショナル・デザイン」である。この概念と不便益は同じ方向を向いている。そこで不便益を生み出すための要素を参考に、身の回りのさまざまな製品を不便益デザインに変えていく試みが行われている。中でも京都大学の生協で販売している「素数ものさし」は、4万本も売れた大ヒット商品で定番のお土産になっているという。いったいどんな不便益があるのか。その他、いくつか活用事例を紹介しながら、不便益デザインの魅力を解説する。(全7話中第5話)
時間:14分39秒
収録日:2020年12月8日
追加日:2021年5月21日
≪全文≫

●人間中心設計とは~エモーショナル・デザインの重要性~


 このように「アフォーダンス」という言葉を使って、使い勝手の良さを30年前から提唱していたノーマンさんですが、2005年に”Human-Centered Design Considered Harmful”「人間中心設計は害悪だと思われる」という論文を出しました。

 真逆なことを言っており、宗旨替えをされたのかと思ってこの論文をよく読んでみると、宗旨替えではなくて、人間中心設計を浅はかに捉えてデザインしていることが多すぎる、という主張でした。

 ノーマンさんの主張は、人間中心設計を、あたかも天動説のように人間様が宇宙の中心にいて何もしなくてよい、周りのものが動いてくれるというデザインだと捉えている人たちが多すぎるというものでした。本当の人間中心設計はそうではなく、人の動き、ないしは人の行いに意味があるようにデザインするというものです。

 それを別の言い方で唱えたのが、同じ年にノーマンさんが出された『エモーショナル・デザイン―微笑を笑う者たちのために』(原題: Emotional Design: Why We Love (or Hate) Everyday Things)です。ここでは、ユーザー中心設計を言い出したときには忘れていたもの、気づいていなかったものの1つとして、エモーショナルなデザインの重要性が指摘されています。


●「カスタマイゼーション」ではなく「パーソナライゼーション」


 ユーザビリティデザイン(人間中心設計)のときに「アフォーダンス」概念を参照したように、エモーショナル・デザインを考えるときにも、ノーマンさんはある概念を用いています。それが「パーソナライゼーション」というキーワードです。

 「人に合わせる」ということを示す言葉としては「カスタマイゼーション」があります。なぜあえてカスタマイゼーションではなくてパーソナライゼーションを使うかというと、カスタマイゼーションは、もともとデザイナーが準備した組み合わせの中からいくつか選ぶことを意味しているからです。それに対して、パーソナライゼーションとは、あるものが、買ったそのときから、少しずつ、人とその物とのインタラクションを通じて、その人になじんでいくということを指す言葉です。これは、カスタマイゼーションとは違います。

 この説明だけではよく分からないと思いますので、例を紹介します...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治

人気の講義ランキングTOP10
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
トップアスリートが実践する「自分の高め方」とは…まず集中のスイッチを入れる方法は?
為末大
「満洲」から考える日本とアジア(9)アヘンの実態と満洲開発
満洲国の開発とアヘン問題…アヘンが資金源となったのは事実だが「同時代の世界」と比較せねば真実はつかめない
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(2)厳格な一神教と選民思想
一神教とは、選民思想の真相とは…ユダヤ教の「最終目的」を考える
鶴見太郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
国家の利益~国益の理論と歴史(2)ペロポネソス戦争の教訓
国益の歴史…ペロポネソス戦争の教訓とトゥキディデスの罠
小原雅博
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留