不便益システムデザインの魅力と可能性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
リハビリ施設、保育園、観光…不便を積極的に活用した好例
不便益システムデザインの魅力と可能性(3)多方面で活用される不便益
川上浩司(京都先端科学大学工学部教授)
「不便益」のデザインは、リハビリ施設や保育園、企業や国際支援など、さまざまな分野で実際に活用されている。それらは単に製品に組み込まれているだけではなく、組織マネジメントやマーケティング施策にまで応用されている。不便であることがどのように生かされ、どのような益が生まれているのか、実際の事例から見ていこう。(全7話中第3話)
時間:14分02秒
収録日:2020年12月8日
追加日:2021年5月7日
≪全文≫

●実際に活用されている不便益なモノ


 こういう話をすると、「それって、ポジティブシンキングですか?」とか、「昔は良かったねというノスタルジーですか?」と言われることがあります。

 確かにここまでの例は、私が後づけ的に「これ、不便益ではないか」と説明しただけなので、そう思われるかもしれません。しかし、実は違います。世の中には、積極的に不便であることをデザインに活用する例がたくさんあります。

 例えば、「バリアフリー」という言葉は皆さん聞いたことがあると思います。これに対して、山口県山口市のデイケアセンターでは、「バリアアリー」ということをやっています。

 日本語が分かる人なら、「フリー」と「アリー」がダジャレになっているのが分かると思います。これは、あえてデイケアセンターの中に軽微なバリアをしつらえ、入居者の方がそのバリアを超えることで、日々の生活で身体能力の衰えるスピードを経験するという、とても人気な施設だそうです。

 このように私は、いろいろなところで人がやったことを勝手に不便益認定して回っています。勝手に不便益認定その2は「足漕ぎ車椅子」です。その名も「Cogy」です。

 車椅子は、もともと足の不自由な方のためのものですが、足で漕げとはどういうことなのでしょうか。なんと不便な製品だと最初私は思いました。しかしよく聞いてみると、車椅子のユーザーは片足しか動かないとか、力が弱まってバランスが取れないだけの方もいらっしゃいます。そういう人たちにとって、自分の足で移動できるということは、電動で勝手に動いてくれることよりもクオリティ・オブ・ライフを上げるため、喜ばれるのだそうです。

 さらに、この写真のペダルのところを見てもらうと、ソケットが付いています。オプションでソケットを付けることができるそうなのですが、両足を挿して漕ぐと、動く方の足で漕いだときに動かない方の足もつられて動くようになっています。それによって、動かない方の足を司る脳の部位に反応が戻ったという報告があるそうです。これはリハビリにも使えるのではないかといわれています。

 勝手に不便益認定その3は「デコボコ園庭」です。園庭をデコボコにして、園児をこけさせようと画策する園長先生がそこそこいらっしゃ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
組織改革の要諦~活性化と人材活用(1)準備、スピード、タイミング
組織改革は最初に全体像と将来像を示すのが重要
秋池玲子
営業の勝敗、キリンの教訓(1)やる気のない社員になる理由
なぜ「やる気のある社員」が日本では6%しかいないのか?
田村潤
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦

人気の講義ランキングTOP10
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫