マルクス入門と資本主義の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本が目指すべきビジネスモデルはどこにあるのか
マルクス入門と資本主義の未来(9)【深掘り編】中国モデルと日本の未来
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
中国では共産党が革命家党から資本家党へと変貌し、党員が資本家となって、国家という巨大組織が資本の流れをコントロールするという新たな潮流を生み出している。一方で、GAFAなどのように、新たなイノべーションを生み出し、世界に進出している企業もある。これらの企業は独占資本でもなく、本物の需要を新たにつくり出したという点で、日本の企業が目指すべきモデルではないだろうか。講義後の質疑応答編第3話。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分21秒
収録日:2020年9月9日
追加日:2021年2月18日
≪全文≫

●偽物の需要によるものはイノべーションとは違う


―― 別の面から考えると、これは環境保護やエコロジーの面からですが、資本主義はつくられた需要であるという見方もあります。本当は需要がないところに需要をつくり出すために、無理やり需要をつくるために宣伝しているのではないかということです。これは環境保護活動などの観点から良くないという指摘もありますが、どのように先生はお考えでしょうか。

橋爪 そのような面もないとはいえませんが、一面的であるといわざるを得ません。1980年頃から、高度資本主義論が出現しました。役に立たないガジェット、ある意味ガラクタのようなもの、また機能は同じでありながら見栄えだけ異なるもの、その差異をハイステータスなものとして表示するなど、偽物の需要をつくり出すために広告業界が精を出して人々の欲望を操作しているという、現代思想系の議論はたくさんあります。広告業界は確かにそういった活動によって成り立っている側面もあるとは思います。

 しかし、私が強調したいのは、例えばスマートフォンはそういう製品でしょうか。ガラケーの時代にどうでも良い機能をつけて、3万円から5万円などの値段で売っているということもありましたね。しかし、スマートフォンが出現するとともに、そうした製品は消え去ってしまい、それが袋小路に陥っていたことが分かるわけです。一方、袋小路に陥らないイノべーションというものもあるでしょう。「これがあれば便利だったのに」と思える製品を、どんどんつくっていかなくてはなりません。


●中国モデルの出現は単なる経済問題ではなく社会問題


―― なるほど。少し前の話に戻る質問になるかと思いますが、今日のお話を聞いて非常に皮肉に思ったのは、米中対立の話です。アメリカの見方からすれば、トランプ大統領などは、中国が雇用を奪っているので、中国から雇用を奪い返す必要があるというレトリックで中国への批判を強めています。その中国が、共産党の指導する共産主義国であるという事実も、非常に皮肉なことだと感じます。

 先ほど先生が指摘されたように、グローバル化は富の平準化の作用を持っているという側面がありますが、反面、一種の国家資本主義のような体制も存在しています。このような状況下では、資本主義的な競争が成立しづらくなる危険性もあると思いますが、世界全体としてはどのようにコントロ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治