マルクス入門と資本主義の未来
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日本が目指すべきビジネスモデルはどこにあるのか
マルクス入門と資本主義の未来(9)【深掘り編】中国モデルと日本の未来
政治と経済
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
中国では共産党が革命家党から資本家党へと変貌し、党員が資本家となって、国家という巨大組織が資本の流れをコントロールするという新たな潮流を生み出している。一方で、GAFAなどのように、新たなイノべーションを生み出し、世界に進出している企業もある。これらの企業は独占資本でもなく、本物の需要を新たにつくり出したという点で、日本の企業が目指すべきモデルではないだろうか。講義後の質疑応答編第3話。(全10話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分21秒
収録日:2020年9月9日
追加日:2021年2月18日
≪全文≫

●偽物の需要によるものはイノべーションとは違う


―― 別の面から考えると、これは環境保護やエコロジーの面からですが、資本主義はつくられた需要であるという見方もあります。本当は需要がないところに需要をつくり出すために、無理やり需要をつくるために宣伝しているのではないかということです。これは環境保護活動などの観点から良くないという指摘もありますが、どのように先生はお考えでしょうか。

橋爪 そのような面もないとはいえませんが、一面的であるといわざるを得ません。1980年頃から、高度資本主義論が出現しました。役に立たないガジェット、ある意味ガラクタのようなもの、また機能は同じでありながら見栄えだけ異なるもの、その差異をハイステータスなものとして表示するなど、偽物の需要をつくり出すために広告業界が精を出して人々の欲望を操作しているという、現代思想系の議論はたくさんあります。広告業界は確かにそういった活動によって成り立っている側面もあるとは思います。

 しかし、私が強調したいのは、例えばスマートフォンはそういう製品でしょうか。ガラケーの時代にどうでも良い機能をつけて、3万円から5万円などの値段で売っているということもありましたね。しかし、スマートフォンが出現するとともに、そうした製品は消え去ってしまい、それが袋小路に陥っていたことが分かるわけです。一方、袋小路に陥らないイノべーションというものもあるでしょう。「これがあれば便利だったのに」と思える製品を、どんどんつくっていかなくてはなりません。


●中国モデルの出現は単なる経済問題ではなく社会問題


―― なるほど。少し前の話に戻る質問になるかと思いますが、今日のお話を聞いて非常に皮肉に思ったのは、米中対立の話です。アメリカの見方からすれば、トランプ大統領などは、中国が雇用を奪っているので、中国から雇用を奪い返す必要があるというレトリックで中国への批判を強めています。その中国が、共産党の指導する共産主義国であるという事実も、非常に皮肉なことだと感じます。

 先ほど先生が指摘されたように、グローバル化は富の平準化の作用を持っているという側面がありますが、反面、一種の国家資本主義のような体制も存在しています。このような状況下では、資本主義的な競争が成立しづらくなる危険性もあると思いますが、世界全体としてはどのようにコントロ...

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