マルクス入門と資本主義の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
社会主義や共産主義の問題点は「善意で失敗していること」
マルクス入門と資本主義の未来(10)【深掘り編】社会主義・共産主義の基本と失敗
橋爪大三郎(社会学者/東京工業大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
古い経済理論は、単純化して組み立てられているので、現在の新しい経済状況のもとでも利用できる要素を見出すことはできるはずである。また、共産主義や社会主義という言葉は、ソ連崩壊以降ネガティブな意味を持ってしまった。政治的表現としては、異なる言葉を模索したほうが良いだろう。講義後の質疑応答編の最後に、橋爪氏が視聴者からの質問に回答する。(全10話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分41秒
収録日:2020年9月9日
追加日:2021年2月25日
≪全文≫

●古い経済理論も新しい状況を分析するための示唆を与える


―― 実は、視聴者の方から橋爪先生へのご質問をいただいていますので、お答えいただければと思います。まず一つ目の質問は、「新古典派をはじめとする最先端の経済理論の破綻が明らかになりつつある今、マルクスや『資本論』を媒介として、歴史的パースペクティヴを持つことの重要性について、先生はどのようにお考えでしょうか」というものです。今回のシリーズ講義を踏まえて、どのようにお考えでしょうか。

橋爪 先ほどお話ししたことと少し被りますが、ご容赦ください。「新古典派をはじめとする最先端の経済理論の破綻」とご指摘ありましたが、経済理論は必ず単純化の上に成立しています。分析したい点に焦点を当てて、それ以外は後回しにするというのが、尖鋭的な経済理論なのです。

 例えば、ケインズの場合、総需要が不足することによって失業が起こることが切迫した問題です。それに焦点を絞ると、有効需要が不足した場合、なぜ失業が引き起こされるのか、有効需要を上乗せするためにはどのような手段があるのか。それには、金利を下げるべきか、政府が公共投資を増やすべきか、などの論点に議論を集中させながら、システム全体を描きます。その場合、別の課題に関しては、機敏に対応できるほどの分析は行われていません。経済全体のバランスを取った考え方は、皆頭の中に持っているのですが、論文を書くなどして、そうした本を書いている時間がないのです。したがって、理論はいつも修正されているのであって、破綻しているわけではなく、新しい問題が出てきたということなのです。ですので、前の考え方に立ちつつも、議論を整理すれば対応できる場合が多いと思います。

 マルクスの『資本論』も近代経済学と同じ枠組みの中で、もう一つの議論として扱えば、他の理論と同様に、使えるところは使って、使えない部分は置いておくという態度で良いのではないでしょうか。

―― 今回のシリーズ講義でも、マルクス経済学自体が、問題を単純化する中で生まれてきた側面があるとご指摘があったと思います。

橋爪 近代経済学が破綻しているのであれば、マルクス経済学はもっと破綻しているのです。破綻していながらも、現代への示唆があるのです。また、新しい経済情勢は、既存の議論では解明できない新しさを必ず持っているので、それに合致した新しい考え...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
編集部ラジオ2026(36)宮脇淳子先生「満洲史」講義の要点
【10min解説】「満洲史」はタブー?…そこから見えてくる教訓とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(3)「古くて新しい問題」と雇用の未来
AIは「失業」を増やすか減らすか…創造的破壊か?資本化効果か?
宮本弘曉
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫