【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
親鸞の『自然法爾章』とは?…救いの力と絶対他力の真髄
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(4)『自然法爾章』と絶対他力
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
『自然法爾章』は親鸞最晩年の書といわれ、上人が至った究極的な境地と尊ばれている。「自然法爾」とは、世界全体に満ち溢れている「救いの力」というものがあり、それによって“おのずから”救われるということで、「他力」の真髄を表す言葉だ。では阿弥陀仏とは何か。なぜその名を唱えることで人は救われるのだろうか。(全4話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:6分16秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2022年3月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●親鸞の最終的な境地を示す『自然法爾章』


―― それでは、次の文章にまいりたいと思います。こちらは『自然法爾章』というものでございますね。これはどのような文章になるのですか。

賴住 これは親鸞が最晩年に書き残した文章であるといわれています。親鸞が最終的に行きついた境地を書いているとよくいわれている、有名な文章になります。

―― では読んでみたいと思います。

「自然(じねん)といふは、「自」はおのづからといふ、行者のはからひにあらず、「然」といふは、しからしむといふことばなり。しからしむといふは、行者のはからいにあらず、如来のちかひにてあるがゆゑに法爾といふ。」

賴住 まず「自然法爾」の「自然」ですが、「おのづから」そうなると、親鸞は説いています。要するに「行者のはからい」ではない、自分でそうするのではないのだということです。

 前回、「救われていると思えないからこそ、実は救われているのだ」という話がありましたが、それはまさに自分の力でするものではないことを表しています。

 親鸞はよく「絶対他力」といっています。「阿弥陀仏の力によって救っていただく」ということだから、自分がするのではなく、阿弥陀仏が向こう側から救ってくれるということをおっしゃっていると考えられます。

 ですから、「行者のはからい」ではないということをいっていて、「如来のちかひにてある」というのは、阿弥陀仏の誓願によって自分たちが救われているのだから「自然法爾」なのだ、という考え方になってくるかと思います。

―― なるほど。


●世界は「救いの力」で満ち溢れている


―― では、最終の部分を読みます。

「かたちもましまさぬやうをしらせんとて、はじめて弥陀仏と申すとぞ、ききならひて候ふ。弥陀仏は自然のやうをしらせん料(ため)なり。」

賴住 この「自然法爾」も、自分が向こう側から救われてくる、向こう側からの光や命の現われによって自分が救われてくるということです。それが親鸞の一番いいたいことだったと思うのですが、そのことを教えるために阿弥陀仏という姿が現われているということです。

 私たちは一般的に、阿弥陀仏という仏がいて、そこに光が宿るとか、それが命を与えてくれる、あるいは阿弥陀仏というものに一つのかたちを置いて、そこに何かの力が宿っ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉
40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎