【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
親鸞が「非僧非俗」と名乗った真意と妻・恵信尼の影響
【入門】日本仏教の名僧・名著~親鸞編(1)親鸞と法然の違い
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
親鸞といえば、法然の専修念仏思想を継いで布教を続けた聖人ともいわれる人物だが、法然と親鸞の教えではどこがどう違うのだろうか。また、「非僧非俗」と名乗り、出家の身でありながら妻帯した親鸞の真意はどこにあったのだろうか。ここでは法然との関係、流罪と妻帯などをめぐり、90年にわたる親鸞の生涯を追っていく。(全4話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分48秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2022年2月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●源信から法然、そして親鸞へ


―― それでは「日本仏教の名僧・名著」、次は親鸞のお話をうかがえればと思います。

 親鸞は1173年~1262年の人ということですので、ちょうど明恵と同じ年にお生まれになって、明恵よりも長生きされたということですね(明恵:1173年~1232年)。

賴 住 そうですね。90歳までということで、当時としては非常に長命でいらっしゃいます。

―― 90歳とは本当に長命でいらっしゃったわけですね。親鸞は皆さんがよくご存じのように、法然のあとを継いで、布教を続けられたという方だと思います。法然のお話のときに、源信から法然にかけて変わった部分についてお話をいただきましたが、源信→法然→親鸞ということになると、どのように違ってくるのでしょうか。

賴住 源信と法然の間にかなり大きな違いがあることは、以前にお話ししたかと思うのですが、源信の場合、インド・中国の浄土教の流れを正統に継いでいかれて、「観想念仏」を中心とした「天台浄土教」というものを確立されたといわれています。

 法然は比叡山に入って、天台浄土教をご自身で学びました。また、源信のことを生涯尊敬していらしたのですが、源信のいっている観想念仏を中心とした念仏信仰とは違う「専修念仏」を打ち立てます。「南無阿弥陀仏だけ唱えればいい。観想念仏は不必要である」という新しい念仏の教えを築き上げたという流れになります。

 さらに親鸞は、もともと法然と同じように最初は比叡山に入って天台浄土教を勉強していたのが、あるとき山を下りて法然の教団に入り、法然の教えに帰依していきます。法然・親鸞は、教えとしては専修念仏、すなわち「南無阿弥陀仏と唱える」という教えになってくるかと思います。


●対面での教えに大切にした法然、「書き残す」ことを重視した親鸞


―― そうすると、法然と親鸞の違いというのは、もちろん同じ「専修念仏」といっておられるわけですが、それぞれの特徴としてはどういうことになりますでしょうか。

賴住 法然は念仏を学問的にも非常に究められた方なのですが、ご自身の資質だったのか、ご自身ではあまりお書きにならない方でした。

―― 文章を、ですか。ご本とか。

賴住 そうですね。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国共産党と人権問題(5)そもそも人権思想と憲法とは?
中華人民共和国憲法は人権型ではない
橋爪大三郎
『貞観政要』を読む(1)長期政権を目指す者の必読書
北条政子も愛読した長期政権のバイブル『貞観政要』
田口佳史
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子