【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編
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選択本願念仏集は生死輪廻の世界観に立ち向かうための教え
【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編(2)『選択本願念仏集』
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
「大原問答(談義)」において「浄土門・易行の専修念仏こそが凡夫を救う唯一の道である」と説き、世を騒然とさせた法然が書物として撰述した代表的な著作が『選択本願念仏集』である。「称名」がなぜ往生に結びつくのか。大乗仏教という救済の原理が順を追って述べられていく。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分01秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2021年7月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●生死輪廻の世界観に立ち向かう『選択本願念仏集』


―― それでは実際に法然の文章で、何をおっしゃったかということに迫ってまいりたいと思います。まず最初にご紹介するのが『選択本願念仏集』です。

 これは結文ですので、一番最後の部分でしょうか。

賴住 そうですね。最終章になります。はい。

―― では、読み進めてまいります。

「それ速やかに生死(しょうじ)を離れむと欲(おも)はば、二種の勝法(しょうぼう)の中に、しばらく聖道門(しょうどうもん)を閣(さしお)いて、浄土門に選入すべし。浄土門に入らむと欲はば、正雑二行(しょうぞうにぎょう)の中に、しばらくもろもろの雑行を抛(なげす)てて、選じてまさに正行に帰すべし。」

 これはどういう意味になるのでしょうか。

賴住 はい。まず、「それ速やかに生死を離れむと欲はば」でいわれる「生死」は、「生死輪廻(しょうじりんね)」を意味しています。これは仏教の基本的な世界観・人間観で、「悟らなければ、輪廻転生をし続けなければいけない」ということです。生死を繰り返し、生まれて、死んで、生まれて、死んでということを、ずっと繰り返していかなければいけないというふうに考えるわけです。

 そして、人間にとって生きているということは非常に苦しいことだというのが、仏教の基本的な考え方です。よく「生老病死」を「四苦」などといいますが、人間というもののあり方を考えていくと、生まれて、老いて、病んで、死んでいかなければならない運命にある。つまり、どんなに一時的に楽しいことがあるにしても、最終的には苦しみの中にいると考えていくわけです。

 苦しみの「生死輪廻」が繰り返されていくのが人間の実相なのだ、という人間に対する基本的なおさえが、まず述べられています。


●輪廻転生を離れ、救いの道を得るための方法


賴住 迷いや苦しみから抜け出していこうとするときに、「二種の勝法」がある。「二種の勝法」というのは、その後に出てくる「聖道門」と「浄土門」のことを指しています。

―― これはどういうものになるのですか?

賴住 中国でも日本でも、仏教の教えをある基準によって分けていくということが行われました。これを「教相判釈(きょうそうはんじゃく)」と呼んでおります。要するに、これはさまざまな教えを、いろい...

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