【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「観想念仏」から「口称念仏」へ…法然の専修念仏の革命性
【入門】日本仏教の名僧・名著~法然編(1)鎌倉仏教と専修念仏
賴住光子(東京大学名誉教授/駒澤大学仏教学部 教授)
平安末期から鎌倉時代にかけて、貴族が独占していた仏教の教えが民衆向けに布教されるようになっていった。「鎌倉仏教」と呼ばれるこの思潮は、ヨーロッパの宗教改革にも匹敵する重要なマイルストーンと見なされている。その一人目・法然編では、彼の生涯と著書から鎌倉仏教の動きを俯瞰していく。第1話は彼が唱えた「専修念仏」という教えと、鎌倉仏教が広まっていく時代背景について解説する。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分52秒
収録日:2020年9月30日
追加日:2021年7月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●「鎌倉仏教」の成立と重なる法然の生涯


―― 「日本の仏教の名僧・名著」シリーズの続きとしまして、今回は法然に入ってまいります。

賴住 はい。

―― 法然は1133年にお生まれになり、1212年に亡くなられています。教科書的にいうと、まさに「鎌倉仏教」と呼ばれる時代に入る頃かと思われますが、この法然という方は、どのような人物なのでしょうか。

賴住 はい。法然は「専修念仏」ということで、よく知られているのではないかと思います。前回の源信とのつながりで申しますと、両者とも「念仏信仰」「阿弥陀仏信仰」という点では共通しております。

 源信という方は、比叡山の天台宗で勉強されています。ご自身の意識としては最後まで天台宗の僧侶であり、そのことをベースにして念仏信仰を展開していった人です。彼の念仏信仰については、「天台浄土教」などとも呼ばれております。

 法然は最初比叡山に入って、天台浄土教を勉強していました。ですから、源信の影響は非常に強く受けていますし、生涯、大変源信を尊敬していました。そういうつながりは非常に深かったわけですが、専修念仏自身は、天台浄土教とは大変大きく違っています。どういうところかと申しますと、天台浄土教では「観想念仏」をメインに置いていた点です。これはインドや中国の浄土教でも基本的には同じです。

―― 源信のシリーズで先生にご説明いただきましたけれども、「観想」というのは、実際に例えば阿弥陀仏のお姿を頭の中で思い浮かべたり、白毫相という額についた仏さまのマークを思い浮かべたりするなど、いろいろなことを教えていただきました。それらとはまた違うということになるわけですね。

賴住 はい、そうです。


●「観想念仏」から「口称念仏」へ、法然の革命性


賴住 「観想念仏」をするのは、浄土教の信仰をする人にとって非常に重要な修行でした。しかし、法然はそれをしなくても構わないという形を取ります。

 もちろん、源信も、観想念仏を重視しつつも、口称念仏でも構わないとは言います。源信によれば、観想念仏をするためには生活のゆとりもなければならないし、心のゆとりもなければいけない。また、何かを思い浮かべて、ありありとそれが見えてくるためには、いろいろな才能や何かが必要になってくると思います。そういうものがない人は「口...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫