●古代から近代に至る階級闘争の歴史
それでは、四回目の講義に移ります。今回のテーマは「階級闘争」です。「階級」はマルクス主義の非常に重要な概念で、この世界の歴史を「階級闘争の歴史」として認識するのです。
「階級」とはどのようなものなのでしょうか。「階級」とは、ものを所有する権利、すなわち所有権によって決定されるとマルクスは考えました。これは非常に優れた洞察です。
近代社会についていえば、資本を誰が所有するかが非常に重要です。資本を所有するのが資本家であり、資本を持たず賃金に依存しているのが賃金労働者です。資本家と賃金労働者に階級が分裂すると、マルクスは見立てました。土地を所有している地主も近代社会には存在していますが、いわば脇役にすぎず、資本家の子分のような役割に甘んじています。ですので、分析の際にはあまり重視しなくても良いということになります。資本家とも労働者とも異なる、自分で仕事をしている職人や商店主なども存在していますが、単純に議論を進めるために無視しています。したがって、資本の持ち主である資本家が一つのグループをなしているのです。
昔からそのような状況であったわけではありませんでした。古代、中世、近代と三つの時代に区分して説明すると、まず古代では奴隷を所有している人々が奴隷主で、所有されている人々は抑圧を受けているという、この二大階級に区分することができます。古代では、大きな川のほとりに平地が広がっており、その土地に小麦などを植えると大きな収穫を得られて豊かになることができました。しかし、ただ土地があっても意味がありません。むしろ、人口に比して土地は余りぎみでした。土地を豊かな富の源泉とするためには、そこで労働を行う必要があります。そこで無理やり人を連れてきて、労働を強制していたのです。自由がない状況で働かせるという奴隷制です。この奴隷制が生産のメカニズムとして普及し、社会を二つの階級に分けました。これは歴史の法則によって、滅んでしまう社会だったのです。
中世になると、土地を誰が所有しているかが重要となりました。土地を所有している封建貴族と土地に縛り付けられている農奴が出現し、再度階級対立に陥りました。このような社会も継続しますが、社会内部の矛盾によってやがて滅びました。近世、近代社会では資本家階級が勃興しました。したがって、三...