今こそ問うべき「人間にとっての教養」
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教養とは何か…定義は「人間が考えてきたことの全て」
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(2)教養の定義と準備の必要性
哲学と生き方
橋爪大三郎(社会学者/東京科学大学名誉教授/大学院大学至善館教授)
教養を得るためには本を読むことが重要だが、そもそも教養とは何だろうか。教養とは「人間が考えてきたことの全て」である。過去に生じた問題とその解決手段を学ぶことで、人は自分の制約を超えることができる。意図していなかった出来事に対処するためにも、教養が必要なのである。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分59秒
収録日:2021年3月25日
追加日:2021年5月6日
≪全文≫

●そもそも教養とは何か


―― これは後半でもお伺いしたいと思いますが、ちょうどネット環境も整ってきた状況なので、ネット社会でどのように学んでいくのかということを、ぜひお聞きできればと思います。

橋爪 そうですね。

―― 先ほど、なぜ本から学ぶことが教養として大事かというお話をいただきましたが、まずその前提として、そもそも教養とはいったい何なのかということをお伺いしたいと思います。

 先生はご本に非常に印象深いことをお書きになっていて、教養を「これまで人間が考えてきたことの全て」と定義しています。これは非常に広大な定義ですが、「これまで人間が考えてきたことの全て」とは、どういう位置づけでしょうか。

橋爪 他の人が考えてきたこととは、自分にあまり関係なくても良いものです。なぜならそれは、自分とは別の場所で、別な形で考えられたことだからです。自分が生きていくためには、私自身が何を考え、どのように行動するかが重要です。そして、それが正しいかどうかだけが、とりあえず問題になります。だけど、自分の考えと自分の努力で、全ての問題が解決するでしょうか。

―― そこは前回の小さく見える自分と一緒の問題ですね。

橋爪 はい。目先のことに捕らわれていては問題解決しません。過去によく似た例がありました。しょっちゅう起こる事象なのに、それを知らずに、最善でない決定や最善でない行動をしてしまう。要するに、ばかばかしいことをしてしまうことはありがちです。でも、一回しかない人生だから、あまり大きな失敗を何回も繰り返したくないですよね。

 では、どうしたら良いのかというと、知恵が必要なのです。「こうしたことはよく起こる」と知っておくのです。こうしたときに、前の人はどのようにしてそれを乗り越え、解決したのかを分かっていると、参考になりますよね。だから、そういうことを知るのは十分に意味があります。

 滅多に起こらない大事件は、起こらないかもしれませんし、起こるかもしれません。起こらなかったとしても、そのために備え、安心と覚悟を持って生きているのは、立派なことです。このことは、今この場所に生きているという時間的、空間的な自分の制約を超えているということなのです。

 自分の制約を超えることができれば、その人の誇りになる。確信を持って生きているという状態になります。これが教養です。

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