AI時代と人間の再定義
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
プロセスこそが貴重…AIにない「自分と出会うチャンス」
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
中島隆博(東京大学東洋文化研究所教授)
書くという行為は自分と出会うチャンスである。そう考える中島氏は、書くという行為をダンスに喩え、単に踊って終わりという目的達成のためではなく、いつどこで踊り終えてもいいそのプロセス自体が貴重なプロセスだという。ではそうした行為は、AIの手を借りることによってどうなるか。アリストテレスの言葉を引用しながら、AIとの違いについて語る。(2025年7月12日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第4話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:5分33秒
収録日:2025年7月12日
追加日:2026年1月31日
≪全文≫

●文章を書くとき、書いているプロセス自体が貴重なプロセス


―― このあたりは、まさに人間が考えるとはどういうことなのかとか、AIは当然要約とかをしてくるのは本当に得意だと思いますから、きれいな文章にサラサラッとやってくれます。この講義の前にも事務局の方に少し言われたのですが、「なるべく皆さんの課題で、生成AIは使わないと指導しています」ということをお聞きしました。たぶんそうなのだろうとは思いますが、自分でレポートを書くこととChatGPTにまとめさせることは全然違うということですね。

中島 まったく違います。

―― ただ、(AIを)使うと便利ということもありますね。

中島 もちろんです。

―― これ(AI)は、人間としてはどのように共存していくべきなのですか。

中島 例えば、非常に定型的な書類があります。あのようなものは生成AIが得意だと思います。そういうものはどんどんやらせていったほうが時間の節約にもなります。いちいち人間が手入力して、同じような書類をたくさん書くわけです。私などもそのようなことばかり日々やっているのですが、そこから解放されます。その代わり、人間はもうちょっとクリエイティブなことにエネルギーを割くべきではないか、という気がしているのです。

 例えば、皆さんが文章を書きますね。文章を書くときに、考えたことを文章にしているわけではないのです。そんな器用な人はあまりいません。そうではなくて、自分が何か言葉を書いてみて、その言葉と対話しながら、「あれ? 何でこんな言葉を書いちゃったんだろう?」「これはどう展開するのかな?」「こっちにもあっちにも行きそうだけど、でもどっちを私は選ぶかな?」と、そういう選択、判断を常に迫られて、文章をなんとか書いているわけです。

 しかし、その行き先は分からないのです。書き終わらないと。でも、この書いているプロセス自体が、皆さんにとってどれだけ貴重なプロセスかということなのです。AIは、もうパッと最後まで見渡して、できてしまうわけです。何文字でやりなさいと言ったら、何文字でできるわけです。でも皆さんがやっているのはそうではなくて、これからどうなっていくか分からない偶然性にさらされながら、ずっと文字を書いているのです。


●人生はエネルゲイア――自分と出会うチャンスを放棄してはもったいない


中島 書くという行為は、ある種のダン...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(3)戦犯は児戯に類す――丸一陣地の死闘
「諸君、私を戦犯にするというが如きは児戯に類することである」
門田隆将
中国春秋戦国時代と始皇帝(8)合従軍と秦の激闘
合従軍、秦に迫る!…秦王・嬴政を滅ぼしかねなかった激戦の史実
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(6)「経済成長3つの源泉」の具体策
現代日本で「経済成長3つの源泉」の具体的プランを考えると?
宮本弘曉
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
鎌田東二
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
人間のほうがAIに寄ってしまう?…関係性と倫理のあり方
中島隆博