新撰組と幕末日本の「真実」
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田舎のヤンキー像は大違い…日野の豊かさと文武両道の気風
新撰組と幕末日本の「真実」(3)「日野と多摩」の風土と天然理心流
とかく、ヤンキー的で田舎の百姓集団としてのしあがってきたイメージを持たれやすい新撰組。しかし、彼らの拠点だった多摩地域、特に日野の地理的・文化的な豊かさを見ると、その印象はがらりと変わることが分かる。江戸時代に徳川家康が武田家の遺臣を集めて組織した将軍の直臣である「八王子千人同心」の実像なども踏まえつつ、多摩地域の特徴を解説する。(全9話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分05秒
収録日:2026年1月15日
追加日:2026年3月18日
≪全文≫

●日野は稲作が盛んで水にも恵まれた豊かな農村地帯だった


―― ちょうど今までのお話で、だいぶこれまでのイメージが変わってきたところがありました。前のお話でもあったのですが、どうしても新撰組といいますと、田舎の百姓集団、しかも描かれ方によってはヤンキー的な、「バラガキ」という言葉もございましたけれど、そういう人たちがのし上がっていくというイメージで描かれることが多いのです。

 この日野宿本陣に来ますと、「(こんなに豪壮なのに)のし上がっていくとは、どういうことなのかな?」と感じるところもあるのですが、このあたりの実像はどうなのでしょうか。先ほどもお話がありましたけれど、多摩の地域は相当豊かな地域ではあったわけですよね。

松下 文化的には豊かなのですけれど、物理的にどうかというと、(これも)日野は豊かなのです。

―― そうなのですね。

松下 (ただ、)周辺は実はそうでもなくて、日野に来るまでに(JR)中央線に乗ってこられることが多いと思うのですけれど、中央線に乗ってくると(日野まで)田んぼは(見え)ないのです。

―― なるほど。

松下 今は見えなくなってしまったのですが、20年ぐらい前までは新宿から中央線に乗って、最初に田んぼが現れるのは日野だったのです。これは開発されてなくなったのではなくて、立川より手前にはもともとなかったのです。

―― それは地質の問題とかですか。

松下 そうですね。地質的に田んぼが非常に作りにくいということです。武蔵国の中で見ると、多摩郡は決して物質的に豊か、農作物がたくさん穫れる土地ではないのです。ところが、日野は多摩川があって、この多摩川の一番大きな支流の浅川という川が土方歳三の家のすぐ近くで合流しているのですけれど、この2本の川に挟まれたお陰で上の痩せた土地がうまいこと削られて、稲作に適した豊かな土地が日野は多摩では一番広く外に出ているのです。

 あとは水も非常に得やすいのです。武蔵野台地は井戸を掘っても水が出ないという、非常に水を得るのが難しい土地だったのですけれど、日野は出るのです。台地がうまく削られていて、そしてすぐ用水も引っ張ってこられるということで、非常に稲作が盛んな土地です。

 今の立川の北のほうに伝わっている伝承によれば、娘を嫁にやるなら日野にやれ、日野に行けば米のめしが食えるという話が残っているぐらい、日...

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