核DNAからさぐる日本のルーツ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
遺伝子からみる出雲と東北の知られざる類似性
核DNAからさぐる日本のルーツ(10)内なる二重構造
斎藤成也(国立遺伝学研究所 名誉教授)
日本の遺伝的な類似性について検討すると、やはり近くの地域は似てくる、と考えたくなる。だが、斎藤成也氏によれば、必ずしもそうではないという。例えば、東北は沖縄に似ており、出雲は東北に似ている。一体これは何を意味するのだろう。(全11話中第10話)
時間:10分15秒
収録日:2018年9月26日
追加日:2019年4月14日
≪全文≫

●ヤマト人の中に内なる二重構造がある


 最後に、再び現代人の比較に戻ります。そこで、ヤマト人という二重構造モデルには、1つのある等質なホモジニアスなものであった中に内なる二重構造があるのではないか、と提唱したことについてお話しします。

 さて上の図ですが、日本列島は、北海道のアイヌ人、南西諸島のオキナワ人、それからヤマト人の代表として、これまで東京周辺の関東地方人としました。つまり、東京の人といっても、いろいろな所から通っていますから、一応関東地方のヤマト人としました。それに加えて、韓国の人々も韓国の研究者からデータをいただきました。また、今回新たに、島根県の出雲大社のある出雲市の人々、鹿児島県のデータもいただきました。鹿児島県も大きいので、その中の南薩摩です。具体的には枕崎市から提供を受けて調べています。

 そうすると、不思議な結果が出てきたわけです。地理的には島根県が含まれる山陰地方は、朝鮮半島に近いので、こうしたDNAの結果が出るまで、私は地理的に見て、出雲の人は関東の人よりも韓国の人に少し近いのではないかと思っていました。ところがそうではなかったわけです。これは驚きでした。


●日本各地域の遺伝的傾向に関する理化学研究所の調査結果


 その前の2008年に、図のように、日本のいろいろな地域の研究を、世界的にも先駆けて理化学研究所が行っています。ただ、残念なことに北海道、東北、関東、信越、中部、近畿、九州、沖縄とあるのですが、灰色で示しました中国・四国地方はなぜか何もデータがありません。そういう意味でもわれわれは、出雲人が中国地方、山陰地方なので調べたわけです。

 そうはいっても、上の図のように化学研究所が日本人7000人を調べたSNPの結果から、赤で示しましたわれわれがいうヤマトクラスタ(理化学研究所では本土クラスタといっています)と、彼らがいう琉球、沖縄の人たちは明瞭に分かれます。これは当然、先ほど私たちが示したものと同じです。

 それぞれの地域でいいますと、沖縄人は当然ながら図の琉球クラスタにたくさんいるわけです。赤で示したのが、沖縄で調べられた人々という意味です。九州の人たちと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄