「集権と分権」から考える日本の核心
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
武士が推進した“私”の増殖…中央集権はいかに崩れたか
「集権と分権」から考える日本の核心(4)荘園発生から武家の時代、王政復古へ
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
中世から明治に至る日本は中央集権を嫌い抜く世界であった。律令制は摂関政治でなし崩しになって荘園が誕生し、それが武家の時代へとつながっていく。“私”権の拡大を第一義とする武家は、南北朝の頃も“私”の闘争に明け暮れていた。それは、大陸を侵略しようとした頃の秀吉政権を除けば、明治維新期の王政復古まで続くことになる。(全7話中第4話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:15分24秒
収録日:2025年6月14日
追加日:2025年9月8日
≪全文≫

●摂関政治から荘園の誕生にみる「分権」の強さ


片山 これ(国史の編纂状況)は、(日本が)中央集権ではないということの一つの証明です。自分が適当にやれるところをやって後はよろしくで、藤原氏や上皇などの“私”が政治を担当する。それで、なんとなく国が治っていればいいという分権の基本のようなことで、日本人そのものが「国の正しい歴史は中央集権にある」などというイメージは持っていない。

 それを持っていたのは宇多天皇までです。宇多天皇は菅原道真を登用したことでも知られていますが、菅原道真がなぜ駄目になったかというと、藤原氏に陥れられたからです。

 藤原氏に左遷されて怨霊になってしまったわけですが、藤原氏政権は要するに摂関政治と捉えられる。その後院政があって幕府の政治がある。長い日本の歴史を非常に乱暴に捉えると、そのような流れを考えることができると思います。

 摂関政治における摂政・関白である藤原氏の経済的基礎は、律令体制の租庸調(国が集めている税)の中で、藤原氏が要職に就いているから、(つまり)高い役人の給料はみな藤原氏が持っている(もらっている)、だから藤原氏が経済力を持っている、ということではないわけです。

 公地公民だったはずのものをどんどんとなし崩しにして、いわゆる日本史の大きなテーマである「荘園」が出てきます。“私”が勝手をやっていい土地というものを、お寺も貴族も皇族も増やしていって、それで食う。租庸調の上がりを国から分けてもらって、給料で食べるというのではない。

 これが日本です。荘園はまさに分権の最たるもので、国の中に「公権力は入ってくるな」という場所をつくってしまうわけです。「不輸・不入(の権)」など、いろいろなことをいって公権力を入れなくしてしまう。


●荘園を守る武士の台頭


片山 その荘園を守らせるために「もののふ」というか武士が発達してしまう。武士たちはみんな皇族の子孫だとして「源平」を自称します。ただ人数が多すぎるから臣籍降下して、「源のナントカ」「平のナントカ」という一字姓を名乗っているのだという。

 天皇の血筋を引いていて偉いはずの彼らは、実際は下級公家になっていて、やることがないのでいろいろな荘園を守るようなことをたくさん請け負う。守っている荘園の中には不在地主のようになっている...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(7)AI時代にどう備えるか
認知症患者がAIと一緒に懐メロを歌う…AI活用の可能性ある分野
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(17)「過剰な良かれ」の落とし穴
【10minで考える】巨人・阿部監督の辞任と「過剰な良かれ」
テンミニッツ・アカデミー編集部
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(1)「生成AI」の画期性
「生成AI」実装の衝撃…人工知能の歴史と特長
渡辺宣彦
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
肥満、認知症、低栄養…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎