ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論
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新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
水野道訓(元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO)
「任せる経営」を自分の経営スタイルにしていたという水野氏。「任せる経営」とはソニーグループの元CEO平井一夫氏の言葉でもあるが、大事なのは、「見ているふり」をすること。そして、敗者復活戦がある会社は絶対に成長するという。どういうことなのか。多角化には上意下達ではなく“下意上達”が大事だという話とともに、その意味について伺った。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分04秒
収録日:2025年5月8日
追加日:2026年2月10日
≪全文≫

●大事なのは「見ているふり」をすること


―― そういう中で、先ほどの人事的な部分でいうと、多少、専門型のタイプとマネジメント型とをまたぎながら……。

水野 やっていくところがあると思います。

―― そのあたりも非常に興味深いところですね。

水野 やはりそこは人を動かしていく。「ここに入ったら一生……」という会社もあるとよく聞きますが、そうではないやり方が、その人の未知なる資質を開花させてあげるケースはすごくあるのではないでしょうか。

―― 逆にいうと、上の人はそれをどう見抜くか、見つけるかが、非常に大事なポイントになりますね。

水野 そうですね。私自身がそうでした。もともとマスコミ希望でしたから。CBS・ソニーが第一希望ではなく、CBS・ソニーにソニー・マガジンズという出版のビジネスがあって、マスコミ志望ですから「ああ、こういうことをCBS・ソニーはやっているんだ」と。当然、音楽は好きですから、レコードの制作とか音楽関係ができれば面白いし、マスコミの部分でいうと、ソニー・マガジンズみたいなことをやれたらいいなと。

 そういういい加減な人間だから、最初に配属されたのはソニー・クリエイティブというキャラクターの会社です。キャラクターなんて、まったく分かっていなかった。そこで営業から入って、マーケティングみたいなことをして、企画もやり、といった具合で、その会社の社長になんと20年ほどいてしまった。

 その間に転職も考えました、いっぱい。でも結局20年、ソニー・クリエイティブにいて、ある種キャラクタービジネスのオーソリティみたいになった。そうしたら、ソニー・ミュージックコミュニケーションという、ソリューション系の会社の代表に動かされて。そしてソニー・ミュージック全体の社長になったのです。

 逆にいうと、ソニー・ミュージック全体の社長になったのに、ソニー・ミュージックの祖業の音楽もアニメも経験していないのです。でも、そういう人間だったから、私は最初自分の人事について「何を考えているんだ?」と思いました。でも、その経験の中で、私は育てられたと自分では思っています。

―― それはどういう点ですか。育てられたとは。

水野 多角化経営も1つです。だから先ほど(講義編で)の「遠心力」「求心力」は、自ずと身につきました。任せる経営。(元ソニーグループのCEO)平井(一夫)さんも言って...

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