これから必要な人材と人材教育とは?
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これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
AI時代に必要な創造力や探求心を養うのに障壁となるのは無謬性である。日本の組織は、この問題をいかに克服し、失敗を許容したチャレンジを推進できるか。また、日本企業のメンバーシップ型で雇用システムでは専門性が高まらないといわれるが、そこを今後どう変えていくべきなのか。これらは日本社会全体の課題でもあるが、その原因と解決策について考える。(全3話中第3話)
時間:4分33秒
収録日:2025年12月9日
追加日:2026年2月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●無謬性の問題について企業はどう考えればいいか


【質問】
日本組織の無謬性はとても根本的な問題で、無謬性を放棄し得るのかどうかというところに興味があるのですが、日本組織の無謬性は何か歴史的に根ざしているとお考えでしょうか。また、企業経営を考えたとき、プロンプト・エンジニアリングが上手になっていくのはとても大事だと思うのですが、そのとき先生がおっしゃった「広がり」や「深み」が大事になってくるとすると、短期的には無駄だと思われることでも社員にやらせるのが大事ではないかと思っています。そうすると、企業としてインセンティブ設計や評価システムについてどう考えればいいのか、すごく難しい問題だと思うのですが、何か面白いお考えをお持ちでしょうか。

柳川 無謬性が出てきた原因は、結局、日本社会とか日本企業に求められていた課題がそういうところにあったからだと思うのです。

 だから明治期の話は、明確なお手本があって、ゴールがあって、ヨーロッパがやってきたことをできるだけ早くキャッチアップをする、(つまり)寄り道をせずに、みんながめざすべきゴールや到達点に向かって一気に進んでいくという話だとすると、絶対間違えないでちゃんと階段を上がっていく。そのために無謬性が必要だったし、人材育成も間違いなくちゃんと進んでくれる“兵隊さん”が必要だったわけです。あっちに行ったりこっちに行ったりするような人は要らないのです。だから、ちゃんとゴールに向かって隊列よく、きちっと歩いていける、昔の学校の体育の歩行訓練みたいな人が必要だったし、政府も法律も無謬性が大事だったのだと思います。

 ところが、今はそういう時代ではなくて、日本企業のほとんどがめざすべきゴールがよく分からなくなっている。お手本もない、イノベーションの時代で、自分たちが新しいものを探さなければいけない時代になってきています。

 そうすると、あっちに行ってみたり、こっちに行ってみたりして、「こっちに宝があるかな」「あっちに宝があるかな」と動ける人のほうが必要なので、右往左往する、そのための余裕を持たせるために、無謬性はある程度落としていかなければいけないということなのだと思います。

 だから、無謬性がいいとか悪いとかということではなくて、今の日本が置かれている環境においては、無謬性を少し落とさないと自由度が利かないということで...

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