かゆみのメカニズム
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抗ヒスタミン薬が効かないかゆみは、どう対処する?
かゆみのメカニズム(2)かゆみの分類と伝達経路
髙森建二(順天堂大学 名誉教授・特任教授/環境医学研究所所長)
誰もが味わう“かゆみ”には、いまだ解明されていないことが多い。今回はかゆみがどのように起きるのか。かゆみの二つのタイプとそれぞれの刺激が伝えられるメカニズムについて、順天堂大学名誉教授で同大学院皮膚科学特任教授の髙森建二氏にお話をうかがった(全3話中第2話)
時間:13分10秒
収録日:2015年11月12日
追加日:2016年2月11日
≪全文≫

●末梢性と中枢性、二つのタイプのかゆみがある


 前回は、かゆみについての総論をお話ししましたので、本日はかゆみがどのようにして起きるのかについてお話しします。

 分類すると、かゆみは末梢性のかゆみと、中枢性のかゆみに分けられます。

 皮膚の構造をご覧ください。末梢性のかゆみでは、かゆみの刺激が表皮と真皮の境界部にあるC神経終末に作用することによって神経の興奮が起こり、それが脊髄から視床、大脳皮質へと達してかゆみが認識されていきます。この場合、かゆみを起こす物質は主としてヒスタミンですので、抗ヒスタミン薬がかゆみを止めることができます。

 また一方、抗ヒスタミン薬の効かないかゆみがあります。それを中枢性のかゆみといいます。中枢性のかゆみ発現には、オピオイドという物質が関与しています。

 オピオイドというのはモルヒネに似た物質のことで、中でも一番代表的なのがβエンドルフィンです。これがオピオイドのレセプター(受容体)に結合することによってかゆみが起きます。この場合、かゆみの発現にヒスタミンは一切関与していませんので、抗ヒスタミン薬を飲んでも、かゆみを止めることは全くできません。


●熱帯植物から始まった“かゆみ”の研究


 この二つについて、もう少し詳しくお話しします。

 カウイジという熱帯植物がありまして、皮膚に刺さるとものすごく強いかゆみを現すことが、原住民の間では知られていました。アメリカ人の皮膚科医でシェリーという人が熱帯地方を旅行していた時にこれを聞いて面白がり、かゆみの研究に使えるのではないかと思って持ち帰り、実験を行うことにしました。1957年のことです。

 この植物には小さなとげがあり、それを皮膚に刺すと「激痒」といわれるものすごく強いかゆみを生じます。シェリーは、それがどのくらいの深さに刺さったときにかゆみを感じるかを調べていきました。

 その結果、表皮と真皮の境界部にこのトゲが刺さったときに、最も強いかゆみが出ることが分かりました。そこで彼は、かゆみを感じる部位は、皮膚の中でも表皮と真皮の境界部にあるのではないかと考えたわけです。


●皮膚には、かゆみを感じる点と感じない点がある


 また、皮膚にとげを刺すとかゆみが起きるといっても、皮膚表面の全てがかゆみを感じるわけではなく、感じる点と感じない点があることも分かりました。
...

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