かゆみのメカニズム
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
泣きっ面に蜂のかゆみを撃退する新薬登場!
かゆみのメカニズム(4)透析や肝疾患に伴うかゆみ
髙森建二(順天堂大学 名誉教授・特任教授/環境医学研究所所長)
抗ヒスタミン薬が効かないのは、アトピー性皮膚炎だけではない。腎臓透析に伴うかゆみ、肝疾患に伴うかゆみもその例で、つらさは筆舌に尽くしがたい。しかし、このかゆみのメカニズムを追究することにより、ぴたりとかゆみを抑える薬が日本で開発・販売された。かゆみの研究の第一人者である順天堂大学名誉教授で同大学院皮膚学特任教授・髙森健二氏にお話をうかがう。(第4話中最終話)
時間:6分22秒
収録日:2016年1月19日
追加日:2016年2月25日
≪全文≫

●透析や肝疾患のかゆみは、夜も眠れない


 本日は、透析に伴うかゆみと肝疾患に伴うかゆみについてお話しします。

 これらの疾患のかゆみ、特に原発性胆汁性肝硬変のかゆみは、かゆみの中でも最も強いかゆみを呈することが知られています。これらの患者さんは、夜も眠れないような強いかゆみにいつも悩まされています。

 通常、私たちはかゆみがあると、かゆみ止めの薬である抗ヒスタミン薬を使いますが、腎透析や肝疾患に伴うかゆみは、全くそれらの抗ヒスタミン薬によっては収まりません。

 しかし、数年前に日本の企業により、これらの疾患のかゆみの原因が解明され、薬が開発されました。その結果、患者さんは、かゆみから解放され、生活の質(QOL)を上げることができるようになりました。


●かゆみの原因は、オピオイドという麻薬様物質


 これらの疾患ではオピオイドという物質がかゆみを起こしていたわけですが、オピオイドというのは、モルヒネに似た構造を持った物質です。

 一般にモルヒネというのは、手術の後やがんの末期などで出現する強い痛みを止めるために使用されていますが、長く使っているうちにかゆみが出てくることが分かっていました。

 実は、このモルヒネに似たオピオイドが、腎透析や肝硬変のかゆみに関係していることが分かってきたわけです。

 かゆみを起こすオピオイドには、β‐エンドルフィンとダイノルフィンという物質があります。β‐エンドルフィンは、μ‐オピオイド受容体に結合すると、かゆみを起こします。また、ダイノルフィンは、κ‐オピオイド受容体に結合することによって、かゆみを止めることが分かってきました。

 そして、透析や肝疾患に伴うかゆみでは、かゆみを起こすβ‐エンドルフィン/μ‐レセプター系が、かゆみを止めるダイノルフィン/κ‐レセプター系よりも優位になっていることが分かってきたのです。


●しつこいかゆみがピタリと収まる新薬ができた


 したがって、かゆみを止める系であるダイノルフィン/κ‐受容体系を優位にしてやることによって、かゆみが止まるのではないかということが考えられました。

 そこで、このκ‐受容体系を優位にする薬が開発され、患者さんたちに投与されることになりました。そうすると、これまでどんな治療をしても治らなかったかゆみが、この薬によってピタリと止まることが明らかになりました。患者さ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
腸内細菌の可能性とマイクロバイオームのダイバーシティ
注目は納豆!腸内細菌が生成する若返り物質「ポリアミン」
堀江重郎
歯科の健康づくり(1)「噛める」ようになると人が変わる
噛み合わせや歯の健康が人間の健康にとっていかに大事か
河原英雄
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え
ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る
水島昇
目の健康と医療・最前線(1)ブルーライトは目に悪いのか
ブルーライトは本当に目に悪い?…どの程度影響するのか
大鹿哲郎

人気の講義ランキングTOP10
伊福部昭で語る日本・西洋・近代(1)チェレプニン賞に輝いた無名の作曲家
映画『ゴジラ』の作曲家・伊福部昭が直面した「日本と東洋と西洋」そして「近代の超克」
片山杜秀
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(3)「覚り」とは?「空」とは?
「覚り」「因果」「空」とはどういうものか…仏教の本質と変遷
橋爪大三郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦