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ゲームが高める!リーダーシップに役立つテストステロン

リーダーシップのホルモン

堀江重郎
順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授
情報・テキスト
従来、リーダーシップは本人の心掛けで手にするものといわれてきたが、ホルモンをバランスよく活用することで、現代にふさわしいリーダーシップが得られるという。順天堂大学医学部大学院医学研究科教授・堀江重郎氏が、現代人必見のリーダーシップ論を医学的観点から生活習慣や飲み物のアドバイスも交えて解説する。
時間:16:06
収録日:2016/09/18
追加日:2016/09/18
カテゴリー:
≪全文≫

●心掛けより医学でリーダーシップをサポートする


 皆さん、こんにちは。順天堂大学の堀江です。

 今日は、リーダーシップについて、いかに医学でサポートするかということを考えてみたいと思います。

 今、世の中にはリーダーシップに関する本がごまんとありますし、書店で平積みにされているのは大体、いろいろなリーダーシップについての本です。最近は「サーバント・リーダーシップ」といった「○○リーダーシップ」や、「リーダーシップが旅をする」などがあり、恐らくリーダーシップの本だけで本屋さんの棚が端から端までぎっしり埋まるのではないかと思います。このようなリーダーシップの本を少し読んでみますと、非常に素晴らしい方、生まれつきリーダーシップをお持ちの方、あるいは何らかの人生の経験を経てリーダーシップが高まっていった方など、いろいろな方がいらっしゃるかと思いますが、多くの本は「心掛け」、つまり「あなたはこういう心掛けをしなさい」「こういう心掛けでいると、リーダーシップが高まりますよ」と言っているものがほとんどではないかと思います。

 そういった心掛けも大事なのですが、実はもっと簡単に、例えば医学的な面からリーダーシップを高めるサポートができないか、私はずっと考えてきています。その中で、いくつかのヒントを今日はお話ししたいと思います。


●ボス型から、皆がリーダーシップを持つ時代に


 リーダーシップとは、一つは他人に対して自分の主張をうまく伝えることができると同時に、他人の主張をうまく受け止めながら、おそらく一つの集団や組織として良い方向へ進めていくということかと思います。

 最近はなんでもリーダーシップに結び付ける傾向にあります。従来はリーダーシップというとボス、つまり中心になって引っ張る人についてのリーダーシップ論でしたが、今は一つの組織であれば、船で例えるなら船長だけではなく、航海士や機関士、あるいは食事をつくる賄いの人など、全ての人がその組織にとって最適となる行動を判断していくためのリーダーシップ論ということで、まとめられるのではないかと思います。


●従来型リーダーシップを発揮するならテストステロン


 そういった中で、従来からいわれているタイプのリーダーシップのホルモンとして重要なものは、10MTVでも何度かお話ししたことがありますが、テストステロンというホルモンです。

 テストステロンは一般的に男性ホルモンと呼ばれていますが、実はこれは男性だけに出ているのではなく女性の中にも多く、いわゆる女性ホルモンよりも十倍以上持っています。もちろん男性ホルモンは男性にも多いのです。ではなぜ男性ホルモンかといいますと、人間は基本的には女性系なのですが、人生のある時期、急激にこのホルモンの濃度を高めることによって、おちんちんができて男性となったり、あるいは男性的な考え方をするというように、脳が形作られることになっているからです。しかし、男性と女性の中に決定的なホルモンの差は、実はそれほどありません。ですから、女性でもテストステロンが高めの方は、当然いるのです。

 このテストステロンというホルモンの働きですが、医学的な働きは別として、社会的な働きを中心にお話ししますと、要は社会や第三者の中で自分を目立たせる、つまり目立とう精神といったことです。例えば、書道の作品を書いたので展覧会で皆の前で発表したいと思うのは、テストステロンの働きによるものです。競争をして一等賞になる、これもテストステロンによるものです。逆に、徒競走をして最下位だったとなると、あなたのテストステロンは一気に下がります。あるいは、自分が応援している野球チーム、例えば阪神が今日も負けたとなると、テストステロンが下がります。一方、ソフトバンクを応援している人は、テストステロンがずっと高い、ということもあります。


●テストステロンの特徴と限界-強い主張と思いやり


 このテストステロンというホルモンが古典的なリーダーシップに役立つといわれていた理由の一つが、自分を主張できる強さです。それがリーダーシップと考えられてきました。

 しかし、逆に言うと、テストステロンには限界もあります。それは、テストステロンが高い方は周りの方への共感が少ないといわれているからです。共感はエンパシーともいいますが、分かりやすい言葉でいうと「思いやり」です。一緒にハイキングをしながら、先頭に出た人が少し遅れた人を気遣って一番後ろに回り、そこからグループ全体を前に進めていく。これもエンパシーですが、テストステロンが極端に高くなってくると、このエンパシーが少なくなってくるといわれています。

 医学上の研究での具体的な例を挙げると、例えば、いろいろな顔をした人の写真を並べておきます。その中には...
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