男性医学とテストステロン
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
テストステロン値が高い人の特徴は「ヒーロー」のような人
男性医学とテストステロン(2)冒険・社会性・競争
堀江重郎(順天堂大学医学部・大学院医学研究科 教授)
数年前、テストステロン値が高いトレーダーはもうけが多いことが分かり、テストステロンが一躍有名となったが、この話にはオチがあるという。それは何か。順天堂大学医学部大学院医学研究科教授・堀江重郎氏が語る。(2015年7月24日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「リーダーシップのアンチエイジング」より、全6話中第2話目)
時間:8分42秒
収録日:2015年7月24日
追加日:2015年10月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●男性ホルモンの多いトレーダーはもうける


 テストステロンが医学的な意味だけでなく、なぜ社会的なことに関係するかをこれからお話ししていきたいと思います。テストステロンが一躍有名となったのは、数年前のことです。ロンドンの金融街、シティのトレーダーの方々のテストステロン量を調べた研究が明らかになってからです。テストステロン量は、朝晩、唾液に含まれている量で簡単に測ることができます。

 この研究は、『米国学士院会員雑誌』に載りました。利根川進さんがノーベル賞を受賞された論文なども掲載された権威ある雑誌です。通常は医学、メディスンのセクションに載るところを、この研究はエコノミー、経済セクションで紹介されました。分かったことは、テストステロン値が高いトレーダー、あるいは値が高い日のトレーダーは、もうけが多いということです。皆さんもひょっとしたら何百億円を動かしていらっしゃるかもしれませんが、テストステロン値が高い人に任せると、利益が大きくなるでしょう。

 この論文が出た途端、日経新聞、フィナンシャル・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナルなどが取り上げて、大変な話題となり、皆さん、自分たちがお金を預けているトレーダーのテストステロン量を知りたがりました。ただ、この話にはオチがありまして、テストステロン値が高いトレーダーは、利益が大きい一方で損も大きいのです。テストステロン値が低い人は、利益は少ないけど損も少ない。つまり、このホルモンはリスクを取ることと関係があるということが分かってきたのです。


●冒険、社会性、競争のホルモンである


 さまざまな研究をまとめると、現在、テストステロンには三つの大きな働きがあることが分かっています。一つは、「冒険」することです。昔の男性は、狩りをする、旅をするのが大きな役割の一つでした。男性が主人公のビルドゥングスロマンは、必ず旅をして、さまざまな経験をして帰ってくる。そして、隣の家の女の子と結婚するのです。テストステロンは、旅をすること、あるいは新しいことにチャレンジすることと関係していると分かっています。例えば、このホルモンが働かないネズミは、新しいタスクに全く挑戦しなくなります。

 次に、これは後ほど改めて少し触れますが、「社会性」とも深く関係しています。テストステロンの多い男性は、仲間や家族を大事にする、悪くい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
最新の腰痛医療(1)導入された二つの医療と慢性腰痛
高齢者だけじゃない! 若年層にも腰痛が増えている
菊地臣一
「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(1)健康な睡眠のための方法
どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?
西野精治
アンチエイジングのための「5:2ダイエット」
「5:2ダイエット」活性酸素を減らしてアンチエイジング
堀江重郎
ウイルスの話~その本質と特性(1)生物なのか、そうではないのか
きわめて特異的な「ウイルスと宿主の関係」
長谷川眞理子
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
飽食時代の「選食」のススメ(1)選食の提唱と「食の多様性」
20億人以上が肥満…飽食の時代に大事な「選食力」3カ条
堀江重郎

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥