膵臓の病気~がんと治療の基礎知識
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
沈黙の臓器「膵臓」とは?2つの役割と疾患の種類
膵臓の病気~がんと治療の基礎知識(1)膵臓の役割と疾患
健康と医療
糸井隆夫(東京医科大学病院 消化器内科 主任教授)
「沈黙の臓器」といわれる膵臓。聞いたことはあっても、その位置や形、役割については詳しく知る機会が多くないのではないだろうか。今シリーズでは、その膵臓の働きや、かかり得る疾患、治療の現在地について紹介する。まず今回は、血糖値をコントロールしたり消化を助けたりする2つの分泌機能や、進行すると逆に痛みがなくなるという膵炎の特徴について解説する。(全2話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分52秒
収録日:2024年7月19日
追加日:2025年2月16日
≪全文≫

●膵臓の2つの役割


―― 皆さま、こんにちは。

糸井 こんにちは。

―― 本日は糸井隆夫先生に膵臓の病気についてお話を伺いたいと思っております。糸井先生、どうぞよろしくお願いいたします。

糸井 よろしくお願いいたします。

―― 膵臓ということで、もちろん、名前は皆さん知っていると思うのですけれど、どんな臓器なのだろうということもございますし、またもう反面、例えば膵臓がんなどは見つけづらくて、見つかってしまうとなかなか治りづらいというか、けっこう死亡率も高いだなんて話を聞くのですが、まず最初に、膵臓というのはそもそもどういう臓器なのかというところでございます。これはどう理解すればよろしいでしょうか。

糸井 皆さん、膵臓といわれても、どこにあるのか、どんな形をしているのか、なかなか分からない方も多いと思いますので、今回はこの小さなぬいぐるみを使ってお話ししたいと思います。

―― かわいいぬいぐるみですね。

糸井 かわいいですね。まず、だいたい位置としては胃の裏側にあります。胃の裏側にあって、長さは、これ(ぬいぐるみ)は少し小さめなのですけれど、普通は15~20センチメートルぐらいです。膵臓の頭、膵頭部と呼ばれるところの幅が3センチメートルから4センチメートルです。後ろのほうは、どちらかというと細長くて、これの幅がだいたい2~3センチメートルとなっています。さらにもちろん厚さがありますので、膵臓の厚さはだいたい2センチメートルぐらいということで、臓器としてはわりと小さな臓器といわれています。

 働きは、いわゆる膵液、アミラーゼとかリパーゼとか消化酵素を出すような外分泌というような役割と、あとはご存じだと思いますけれど、インスリンという、血糖値を下げるようなホルモンを出す内分泌を出す部分と、この2つの役割を持っております。

―― 先ほどの膵液というのは、これが消化を助けるということになるのですか。

糸井 そうですね。いわゆる「外分泌」と呼ばれるものですけれど、アミラーゼとかリパーゼとかそういったものは、脂肪、タンパク質とか、そういったものを分解する酵素です。これが膵臓で作られて、十二指腸乳頭という膵臓の管の出口から十二指腸に出てきます。それで食べ物と混じって、そして食べ物が分解されるということになります。

―― もう一方の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
新しいアンチエイジングへの挑戦(1)患者と伴走する医者の存在
だべったら生存期間が倍に…ストレスマネジメントの重要性
堀江重郎
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン(1)mRNAとは何か
コロナだけでなく個別化医療の可能性を秘めたmRNAワクチン
内田智士
今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期
なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(2)神々のささやく世界
「神々のささやく世界」では神々の声が行動を決める
本村凌二
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規