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自覚症状がない!? 胆のうがん早期発見の難しさと治療法

胆のうの病気~続・がんと治療の基礎知識(2)胆のうがんの検査方法と治療法

糸井隆夫
東京医科大学病院 消化器内科 主任教授
概要・テキスト
『胆のうの病気 (専門のお医者さんが語るQ&A) 』(糸井隆夫著、保健同人社)
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初期段階では自覚症状がないため、早期発見が難しいとされる胆のうがん。胆のうの位置からしてもがんは発見しづらいが、それでも超音波検査や血液検査など発見するための方法はある。今回は、胆のうがんにつながる胆のうの病気を調べるための検査方法と、いざ胆のうがんが見つかった場合の最先端の治療法について解説する。(全2話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:46
収録日:2024/07/19
追加日:2025/07/21
キーワード:
≪全文≫

●初期段階では自覚症状がない…胆のうがん発見の難しさ


―― 続いて、胆のうがんですね。こちらのがんも膵臓と同様にかなり難しいがんだと聞いておりますけれど、胆のうの場合は、なぜ難しいがんだということになるのですか。

糸井 胆のうは袋状のものであるということで、胆汁の通り道であるのですけれど、そこにポリープができる、あるいはがんができるといっても、まず(初期段階で)何か症状が出てくることはないのです。

 症状が出てくるときはどういうときかというと、そのがんが大きくなってきて、いわゆる先ほど(第一話で)言った胆汁を流れにくくするぐらい大きくなってきた場合で、こうなってくると、いわゆる血液検査で肝機能が悪くなったり、黄疸というようになってきたりします。こういう段階になると、これは誰でも分かりますし、精密検査の基本になるのですけれど、その前の段階であると、なかなか(発見は難しい。つまり)たまたま人間ドックをやりました、あるいは検診をやりました、エコーで何かありました、という以外は、まず症状には出ないのです。

―― しかも、胆のうのがんも転移しやすいということなのですか。

糸井 はい。結局、小さいうちは他のがんと同じように転移しないのですけれど、胆のうのがんに関しましては、見つかるまでに大きくなってしまうというのが1つです。

 あと、胆のうの壁とは非常に薄くて、例えば、胃とか大腸は厚い固有筋層という筋肉があるのですけれど、それと違って、胆のうの壁は筋肉がほとんどなく薄い状態なので、すぐ胆のうの外まで広がってしまうのです。外まで行ってしまうと、大きな血管がありますので、転移とか、あるいは腹腔内にがんが散らばってしまったり、ということがあります。


●発見のためには検診に超音波検査や血液検査を入れること


―― そのようなお話を聞いていると非常に怖い感じもしてまいりますが、これを見つけるにはどうすればよろしいですか。

糸井 これもなかなか難しいですね。膵臓と同じように胆のうという臓器は分かりにくい臓器で、進行するまで症状が出ないということがありますので難しいのですが、まずきっかけとしては超音波検査がいいと思います。人間ドック、あるいは検診で必ずオプションであれば入れるというのが1つです。...
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