●胆汁を濃縮する胆のう
―― 皆さま、こんにちは。
糸井 こんにちは。
―― 本日は糸井隆夫先生に胆のうとその病気についてお話を伺いたいと思っております。糸井先生、どうぞよろしくお願いいたします。
糸井 よろしくお願いいたします。
―― 先生には膵臓の病気のお話も伺いましたけれど、今回は胆のうということでございます。胆のうも、もちろん名前は知っているけれど、実際どういうものかご存じない方も多いと思います。また、胆のうの病気というと、胆石ですが、胆石というのはけっこう聞くこともありますけれど、一方、胆のうのがんもなかなか見つけづらくて治しづらいということもあると聞いております。ぜひそのあたりのことを伺ってまいりたいと思っております。
まず、胆のうとはどういう臓器かというところでございますが、いかがでございましょうか。
糸井 膵臓もなかなか皆さん分からない臓器だと思うのですけれど、胆のうも「何だろうな」「何の役目をしているのかな」と思う方も多いと思いますので、今回も、この小さなぬいぐるみを持ってきました。
胆のうは、この右の肋骨の下辺りにあるものです。この辺りにありますので、この辺が痛いといったときには胆のうの可能性があるということになります。
実際の胆のうの役割なのですけれど、だいたい大きさは10センチメートルぐらい、幅が4センチメートルか5センチメートルぐらいです。通常は60ccぐらいの液体を貯めます。その液体がいわゆる「胆汁」と呼ばれるものです。
胆汁は肝臓で作られて、肝臓から川のように流れてきて、そして一旦、胆のうに貯まります。胆のうに貯まって、胆のうはただ貯めておくだけではなくて、胆汁の90パーセント以上は水分なのですけれど、水分プラス消化酵素、食べ物を溶けやすくするとか、そういう酵素がありますけれど、そういうものを濃縮する働きがあります。すなわち、90パーセント以上が水分の胆汁を、どんどん水分だけ吸収して、濃い消化酵素の胆汁を作り出します。流れているものよりよっぽど濃いので、これがごはんを食べるとギュッと縮まります。ごはんが入ってくるとギュッと縮んで、そしてビューッと濃い胆汁が十二指腸に出ます。そうするとごはんと交じって食べ物を溶かしやすくする、消化しやすくするといった仕組みなのです。
―― そうし...