『貞観政要』を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
常に危うきを思う…リーダーは「畏れ」を忘れてはならない
『貞観政要』を読む(15)長期政権を築く秘訣
田口佳史(東洋思想研究家)
老荘思想研究者・田口佳史氏による『貞観政要』の読解講座最終回。徹底的に諫言をする部下、それを正面から受け止めようとするリーダー。この組み合わせでも、まだ長期政権の維持は難しい。安泰の時ほど、緊張感は途切れ、リスク管理を怠るからだ。平穏無事の時こそ、将来のリスクに備えよ。『貞観政要』最後のメッセージ。(全15話中第15話)
時間:4分40秒
収録日:2016年8月1日
追加日:2017年4月24日
≪全文≫

●それでも長期政権は難しい


 第五章を読みます。ここが最終章です。「貞觀十五年、太宗、侍臣に謂ひて曰く」。左右に侍っている臣下に「謂ひて曰く」、「天下を守ること難きや易きや」。天下を守ることは難しいか易しいか。魏徴は答えて言います。「甚だ難し」と。

 「太宗曰く、賢能に任じ諫諍を受くれば則ち可ならん」。魏徴は賢い能吏です。魏徴のような才能のある人間を登用して、彼はきちんと諫諍、強く諌めてくれる。そういうことをやっていても、まだ国は危ういのか? と魏徴に聞いたのですね。「何ぞ難しと爲すと謂はん」。そういう状況であれば難しいということはないだろうが、どうなのだ? と太宗は魏徴に問います。

 それに対して、魏徴がこう言います。「古よりの帝王を観るに」。歴史を見るにつけ、「憂危の閒に在るときは」、国家が非常に危うい状態であるときは、「則ち賢に任じ諫を受く」。大体のトップは全て賢人を招いて彼を任じ、その諌めはきちんと聞いてきた。しかし、ひとたび「安樂に至るに及びては、必ず寛怠(かんたい)を懐(いだ)く」。緊張感がなくなり、危機感がなくなると、怠惰になってしまう。

 君主が「安樂を恃みて寛怠を欲すれば」。安楽、常に「もう少し愉快にやろう」とか「楽しもう」という方に行ってしまい、非常に心が緩んで怠惰になってしまえば、「事を言ふ者、惟だ兢懼せしむ」。諫言などをする人間はいなくなる、ということです。


●何もない時にも、常に「畏れ」を忘れるな


 「日に陵し」、これは次第次第ということです。「日に陵し月に替し」とは、次第次第にで、「以て危亡に至る」。これは知らないうちに、気がついてみたら取り返しのつかないことになっていたという状態を意味します。「聖人の安きに居りて危きを思ふ所以」。昔の聖人のすごさは、この一点にあります。それはどこか。安きにいて、常に危うきを思う。ここが重要です。「正に此が爲」だ。したがって「安くして而も能く懼る」。安泰な状態にいても、どこかで天を畏れ、民を畏れていることが重要です。

 「豈に難しと爲さざらんや」。しかし、それは非常に難しいことだと思い、その気になって自分を戒めていただく。これこそが、安泰な時代を築いていく大本です。ここにトップリーダーのあるべき要点があります。魏徴は太宗に、ずばっとこの要点を言いました。

 魏徴と太宗のやりとり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味
『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味
田口佳史