古代中国の「日常史」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
始皇帝の時代に餃子はなかった?古代中国の日常に迫る
古代中国の「日常史」(3)出土物から探る古代中国の日常生活
歴史と社会
柿沼陽平(早稲田大学文学学術院教授)
古代中国史研究で活用される史料は木簡や竹簡だけではない。今まで重要視されていなかった史料に再注目することで古代中国の日常風景が浮かび上がるのだ。様々な出土品から分析される日常史の事例を具体的に見ていく。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分21秒
収録日:2022年9月9日
追加日:2023年2月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●様々な出土物が、見過ごされてきた当時の生活を探る史料になる


柿沼 問題はそれだけではないということで、日常史をいざ研究しようということになると、従来博物館とか、美術館で見飛ばしていたものがすべて史料として使えることになります。

 例えば、建物の形はどんなものか。あるいは中国古代の人はキスをしたことがあるのか。これはくだらないことかと思われますが、例えば真ん中の石像です。中国古代の2人がキスしているシーンです。僕はこれを見て、けっこう感激しました。「あっ、キスしているのだ」と。「いや、キスくらいするだろう」と安易に思ってしまうのは現代人であって、2000年前の人が本当にしていたかは意外にわかりません。

―― たしかにそうですね。

柿沼 そういう愛情表現があるかどうかが分からなかったのです。あるいは右上のものはレリーフですが、お墓の壁画に彫られたもので、石に彫っているので「画像石」といいます。煉瓦に彫っている場合は「画像磚(せん)」といったりします(スライド下段の左から2つ目にその字が書いてありますが)。こういったものも市場の様子を描いているものです。

―― これは市場なのですね。

柿沼 ええ。右上の図の一番左側のところに「市門」と書いてあって、これが市場の様子であることがわかります。こういったものを見ると、市場はこんな感じだったのだとわかったりもしますし、これと文献を照らし合わせると、「ああ、一致するね」とか、「これはこのことを描いているのか」といったことがわかります。

 あるいはこれ(右の上から2番目)もまたお墓から出た絵ですけど、壁画です。先ほど、お墓の中にこんな史料があるのですかと鋭い質問があり、わからないと答えましたが、色々な仮説はあり、はっきり言ってよくわかりません。壁画も(その理由は)はっきりとわかりません。この壁画に何が描いてあるかというと、字もあって、「肉をかじる」と書いてあります。焼き鳥のようなことをやっているのです。

―― これは串に刺さった肉なのですね。

柿沼 そうなのです。左側に焼き鳥というか、鳥ではないかもしれませんが、シシカバブのようなものを持っています。これをどうして、死者のお墓の中に壁画として描くのかということはわからないのです。当...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎