李登輝に学ぶリーダーの神髄
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李登輝が司馬遼太郎の墓前で「静かなる革命」と報告した理由
李登輝に学ぶリーダーの神髄(6)2回目の訪日と「静かなる革命」
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
1回目の訪日が大阪や岡山だったのに対し、2回目は名古屋、金沢、京都を回った。京都では母校の京都大学を訪ねるのを楽しみにしていたが、「警察が入ると自治が侵される」という理由で門を閉ざされてしまった。しかし、李登輝は決して挫けなかった。帰る間際、司馬遼太郎の墓前に行き、日本や台湾の新聞記者らがいる前で、訪日について墓前で報告をした。その時使ったのは「静かなる革命」という言葉だった。(全10話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:6分01秒
収録日:2020年8月24日
追加日:2020年12月2日
≪全文≫

●閉ざされた母校の門前でじっと構内を見つめる


江口 2回目はセントレア空港から入って、名古屋や八田與一の出身地・石川県金沢市に行きました。それから京都大学および恩師の柏(祐賢)先生に会うということで、京都に行きました。

 その時も「記者会見をやったらいけない」「講演をやったらいけない」「ぶら下がりもやったらいけない」でした。私は京都で待ち受けていて、司馬遼太郎さんのお墓がある大谷廟に行きました。

 それから清水寺へ行き、柏先生(京都帝国大学時代の恩師である柏祐賢先生)のところへ行き、京都大学へ行った時には、年末だったので雪が降っていました。ところが、京都大学は入れてくれないのです。「(警備の)警察が入ると自治が侵される」と。それなら李登輝さんだけ入れたらいいのに。

 この時、李登輝さんは雪の中、閉まっている門扉の前に立って、じっと京都大学の中を見ていました。あの時は申し訳ないというか、気の毒でした。頭や肩に雪が積もる中、じっとして。大学というのは困ったものだと思いました。


●司馬遼太郎の墓前で「静かなる革命」を報告


江口 そして正月3日に帰国するのですが、その時に「うまいこと考えるな」と思ったことがあります。訪日の条件は「記者会見も講演もしない」「取材にも応じない」「政治家にも会わない」ですから、自分のコメントを発表する機会がないのです。

 それで最後の日に朝早く行くと、「司馬遼太郎さんのお墓にお参りして帰りたい」というのです。ついてはお墓の前で、今回の訪日について「報告する」という形でコメントを読み上げたいと。

 これは言ってみれば、記者会見みたいなものです。日本と台湾の新聞記者やテレビに取り囲まれている中で読むのですから。ぶら下がりなどではなく、司馬遼太郎さんに読んでいる文章を新聞記者らマスコミが聞いている。これは「頭がいいな」と思いました。

その時に、「江口さん、今朝書いたんだけど、これを司馬遼太郎さんに読みたい。あんた、読んで直してくれ」と。そこで「静かなる革命」という言葉を加えたのです。

―― そこで入れたのですね。

江口 そのやりとりの中で「ここに『静かなる』という言葉を入れたほうがいいですよ」と言うと、「あっ、そうか」と。その時から、李登輝さんも「静かなる革命」と言い出したのです。今では日本やアメリカのニューヨークタイムズ...

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