李登輝に学ぶリーダーの神髄
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
李登輝が司馬遼太郎の墓前で「静かなる革命」と報告した理由
李登輝に学ぶリーダーの神髄(6)2回目の訪日と「静かなる革命」
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
1回目の訪日が大阪や岡山だったのに対し、2回目は名古屋、金沢、京都を回った。京都では母校の京都大学を訪ねるのを楽しみにしていたが、「警察が入ると自治が侵される」という理由で門を閉ざされてしまった。しかし、李登輝は決して挫けなかった。帰る間際、司馬遼太郎の墓前に行き、日本や台湾の新聞記者らがいる前で、訪日について墓前で報告をした。その時使ったのは「静かなる革命」という言葉だった。(全10話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:6分01秒
収録日:2020年8月24日
追加日:2020年12月2日
≪全文≫

●閉ざされた母校の門前でじっと構内を見つめる


江口 2回目はセントレア空港から入って、名古屋や八田與一の出身地・石川県金沢市に行きました。それから京都大学および恩師の柏(祐賢)先生に会うということで、京都に行きました。

 その時も「記者会見をやったらいけない」「講演をやったらいけない」「ぶら下がりもやったらいけない」でした。私は京都で待ち受けていて、司馬遼太郎さんのお墓がある大谷廟に行きました。

 それから清水寺へ行き、柏先生(京都帝国大学時代の恩師である柏祐賢先生)のところへ行き、京都大学へ行った時には、年末だったので雪が降っていました。ところが、京都大学は入れてくれないのです。「(警備の)警察が入ると自治が侵される」と。それなら李登輝さんだけ入れたらいいのに。

 この時、李登輝さんは雪の中、閉まっている門扉の前に立って、じっと京都大学の中を見ていました。あの時は申し訳ないというか、気の毒でした。頭や肩に雪が積もる中、じっとして。大学というのは困ったものだと思いました。


●司馬遼太郎の墓前で「静かなる革命」を報告


江口 そして正月3日に帰国するのですが、その時に「うまいこと考えるな」と思ったことがあります。訪日の条件は「記者会見も講演もしない」「取材にも応じない」「政治家にも会わない」ですから、自分のコメントを発表する機会がないのです。

 それで最後の日に朝早く行くと、「司馬遼太郎さんのお墓にお参りして帰りたい」というのです。ついてはお墓の前で、今回の訪日について「報告する」という形でコメントを読み上げたいと。

 これは言ってみれば、記者会見みたいなものです。日本と台湾の新聞記者やテレビに取り囲まれている中で読むのですから。ぶら下がりなどではなく、司馬遼太郎さんに読んでいる文章を新聞記者らマスコミが聞いている。これは「頭がいいな」と思いました。

その時に、「江口さん、今朝書いたんだけど、これを司馬遼太郎さんに読みたい。あんた、読んで直してくれ」と。そこで「静かなる革命」という言葉を加えたのです。

―― そこで入れたのですね。

江口 そのやりとりの中で「ここに『静かなる』という言葉を入れたほうがいいですよ」と言うと、「あっ、そうか」と。その時から、李登輝さんも「静かなる革命」と言い出したのです。今では日本やアメリカのニューヨークタイムズ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎